- 応用情報技術者試験を取得したけど、どのように勉強したらいい?
- 合格するまでにはどれくらいの勉強時間が必要?
- 応用情報技術者試験に合格するとどんなメリットがある?
僕はFラン文系大学を卒業してから20代後半でエンジニアに転身し、そこからITに関する勉強を継続してきました。2022年11月(令和四年度秋季試験)は基本情報技術者試験に合格し、2024年4月(令和六年度春季試験)では応用情報技術者試験に合格することができました。
基本情報と応用情報に合格するのにかかった時間は以下の通り。
- 基本情報技術者試験:160時間
- 応用情報技術者試験:266時間
応用情報は特に文系出身で技術的なバックグラウンドを持たない人間からすると非常に効率よくITの知識を学べるよいコンテンツでありますし、また転職でも有利になるなどメリットは多分にあります。
今回はこの資格の勉強法について書いていきたいと思います。
応用情報を取得するメリット
応用情報技術者試験が何なのかという基礎的なお話については恐らく他のサイトなどで既に存じ上げているかと思いますので、ここでは割愛します。
応用情報を取得するメリットはまず第一にITに関する高度な知識を幅広く身につけられるところにあります。分業が進んでしまっている昨今のIT業界では、この世界に飛び込んでみても仕事をしながら全体像を把握するのはなかなか難しい状況です。特にOSやタスクなどの「下回り」のレイヤーに関しては、まさにそういったレイヤーを扱うポジションの仕事に就かないと知識が身につくことはないのですが、応用情報を勉強していればその点も学ぶことができます。
また要件定義の仕方や設計書の書き方などが分かるのも応用情報の大きなメリットです。問題として「こういった困難が起きているのでそれをシステムとして防ぐにはどのような要件を定義したらよいか」が出てきますので、応用情報に取り組んでいれば自然とエンジニアの業務を追体験することができるのです。
幅広い知識とエンジニアとしての勘所がつかめるので、若手のうちこそ早めに取得してほしいし、知識のボトムを揃えるという意味でぜひ勉強をしておいてほしいんですよね。応用情報さえ合格していれば指導する方も相手はどこまでのIT知識を持っているのか把握できますし、また指導を受ける側としても高度なことを言われても「(応用情報を持っていても知らないことだから、これはかなり高度なことを言われてるんだろう)」と割り切ることができます。
皆さんの知る大手企業でも応用情報の取得がマストとなっているところもあり、転職にも役立ちます。何よりも自分のような文系出身の人間は、こうやって資格を取らないとスキルレベルを示すことができないんですよね。僕が応用情報を勉強したのも、自分にはエンジニアとしてそれなりの知識や勉強習慣があることを客観的に証明したいという理由からでした。
求人例1:中部電力
求人例2:日立製作所
求人例3:トヨタ自動車
応用情報の難易度について
それなりに難しいと思います。
応用情報についてはWebサイトやTwitterなどで「簡単な試験だ」「簡単過ぎて取得しても意味ない」と言われがちですが、受験した身としてはそのような感覚はありません。もし本当に応用情報が取得しても無駄な資格であれば中部電力やトヨタ自動車のような大手企業が採用条件に課すわけがありません。
問題の難易度自体は基本情報とはそこまで変わらないのですが
- 範囲が広くなった
- 午後試験は記述式なので、答えのアタリをつけられなくなった
ので、そういった意味では試験難易度はグッと上がっている印象を受けます。
応用情報は基本情報と違って選択問題の選び方次第ではプログラミング問題の回避が可能なので、暗記の力技でクリアできないこともありません。
統計上、受験者の半数は午前試験をクリアし、また午前試験をクリアした人の半数が午後試験をクリアし、合格を勝ち取ります。
合格に必要な勉強時間
ITの知識が多少ある人(基本情報合格相当)で、概ね200時間前後かと思われます。
これは基本情報を取得するのに200時間かかる上で、そこから更に勉強しての200時間ですので、基本情報を飛ばしていきなり応用情報から受けるとなるとトータルで400時間はかかります。ITの知識が全く無い大学生が0から勉強を始めればトータル500時間はかかるかなといったところ。僕は勉強記録SNSであるStudyplusで周りの応用情報受験者の勉強記録を見ていますが、合格するのに標準±20%レンジからは大きくハズレてはいません。
基本情報を受験する際に多めに勉強していれば、応用情報での勉強時間が減るということはあるかと思います。逆に言うと僕の場合は基本情報で160時間と勉強時間が少なめだったので、応用情報では266時間もかかってしまいました。とはいえ基本/応用のトータルで426時間なので標準的なレンジ内で収まっています。
Googleで検索すると「文系未経験でも80時間で合格!」といったような極端に少ない勉強時間で合格している記事を見かけますが、応用情報に限らずそういった記事は参考にならないので200時間は覚悟しておいたほうがよいです。
具体的な勉強法について
午前試験について
午前・午後試験ともに言えることですが、まずは過去問8年分を愚直にやってください。(紙では4年分しかありませんが、過去回をPDFダウンロードできます)
応用情報については出題範囲があまりにも広すぎるので
×:最初に教科書的なテキストを読んでそこから過去問に挑戦
○:いきなり過去問を解きつつ理解を深める
という勉強法にしてください。
無理に理解をしようとせず、英単語を暗記するようにゴリゴリと問題を解いていってください。とはいえあまりにも無味乾燥に暗記していくのはよろしく無いので、間違えた問題は本の解説を読んで一応は理解するようにしましょう。
応用情報はある程度知識のストックがないと解けるようになっていかないので、まずは8年分ガーッと解き進めてみてください。一定の量をこなすと知識と知識がつながってスラスラと理解できるようになるポイントが来ます。
僕の場合は問題を解くのはスマホアプリでスキマ時間にトライをし、間違えた問題は家に帰ってから本の解説を読むということで時間を有効活用していました。僕が使っていたアプリはAndroid用なので、iphoneの方は過去問道場を使用して問題に挑戦するのが良いかもしれません。
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午後試験について
先述の通りまずは紙で過去問8年分を解説を読みつつトライしてみてください。そうすると自分の苦手な分野が分かってきます。自分の苦手分野が分かってきたところで、そこを別の問題集にて重点的に補完するのです。
何はともあれ8年分はやらないと最低限のスタートラインにも立てない状態です。8年分の知識を入れて、そこから重点対策をしつつ、気になったところはスマホでググりながら知識を入れていってください。
オススメの問題について
以下に自分が選択した問題とオススメ具合について表にまとめました。
No | 科目名 | 選択したか | 理系オススメ度(○/△/×) | 文系オススメ度(○/△/×) |
1 | 情報セキュリティ | 必須 | - | - |
2 | 経営戦略 | - | × | △ |
3 | プログラミング | - | △ | × |
4 | システムアーキテクチャ | ○ | ○ | △ |
5 | ネットワーク | ○ | ○ | ○ |
6 | データベース | - | × | × |
7 | 組込みシステム開発 | ○ | ○ | × |
8 | 情報システム開発 | ○ | △ | × |
9 | プロジェクトマネジメント | - | △ | ○ |
10 | サービスマネジメント | - | ○ | ○ |
11 | システム監査 | - | ○ | ○ |
試験で気をつけるポイント
午後試験の記述問題はとにかく何でもいいから文章を書くこと!
応用情報は毎回合格率が25%前後になっており、採点調整が入っていると言われています。合格者が想定よりも多くなりそうな場合はともかく、想定よりも少ない場合は採点を甘くして合格者を増やそうとします。その際に何でも良いので答えに近い単語が文章中に入っていれば部分点は貰えるようなのです。
応用情報の採点はかなり甘めにされていると思われ、僕の周りでも「自己採点よりも実際のスコアの方が高かった」という人間が何人もいます。
ただしこれは何かしらの文章を書いていた場合の話で、何も書いていない場合は当然のことながら部分点などはありえません。ですので当日答えが思いつかなくても問題文からそれらしき単語をピックアップして、何かしらの文章は書くようにしましょう。
最後に
応用情報は世間で言われているよりかは断然難しい試験です。
勉強時間も200時間かかるので、毎日コンスタントに1時間勉強したとしても最低半年はかかる計算になります。一発で合格すればよいですがそこで不合格となると一年がかりの試験となってしまいます。
僕自身は3回目の受験で合格とトータル1年半かかってしまいましたが、途中何度も心が折れかけました。
しかし続けていれば必ず合格できる試験ですし、取得できれば大きな自信につながる資格ですので、ぜひみなさんも頑張って勉強してみてください!
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