
公開2日目に名古屋駅にあるミッドランドスクエアシネマで観てまいりました。
さてこのミッドランドスクエアシネマですが、恐らく僕は10年ぶりぐらいに行った気がします。名古屋駅の中心地にロケーションを構え、開館当時の2007年では恐らく名古屋で一番質の良い映画館であると思われるのですが、あまりにも音が大きすぎるのと、当時はまだオンライン座席購入システムがなかったのでチケット購入に長蛇の列ができることに嫌気が差し、長らくこの劇場を敬遠しておりました。
久しぶりのミッドランドスクエアシネマなわけですが、まず最初に驚いたのが、スクリーンがスコープサイズ非対応ということです。2007年開館当時はどのスクリーンもスコープサイズ対応だったと思うのですが、今回『プレデター:バッドランド』で上下に黒帯が出ているのを観てものすごく萎えました。
最近出来た劇場ならまだしも、ミッドランドですらスコープ非対応なところを見ると、昨今のトレンドというか時代の流れを感じますね。あと音がデカすぎて、なんなら音割れしちゃってる問題ですが、相変わらず音は割れてました。高級感があってアクセスも抜群な劇場ですが、多分もう行かないかなぁ。
ハコの愚痴はさておき本作ですが、点数で言えば70点です。一本のアクション映画として非常に手堅く出来ており、プレデターのファンでなくてもアクション好きなら最低でも60点は超えると思います。かといってファンだとしても行っても80点ぐらいではないですかね。一部の映画系インフルエンサーが過剰に持ち上げていますが、冷静にジャッジしても80点ぐらいが関の山のような気がします。
この映画の最大のグッドポイントとバッドポイントですが、それは「一本の映画としてあまりも手堅く良く出来すぎている」という問題があります。一本のアクション映画としてよく出来すぎているので主人公がプレデターでなくてもよくなっちゃってるんですよね。
最初にこの映画を観た感想としては「なんか『アポカリプト』みたいだな」。バッドランドと呼ばれる危険な惑星に行って、そして帰って来る文字通り一本道なストーリーは『マッドマックス:フューリーロード』的でもあります。良くも悪くもゲーム的であり、バッドランドは基本的にフルCGで描かれますし、登場人物もアンドロイドのみなのでアナログなものが出てこないのです。
大きいモンスターを倒して帰って来るだとか、アイテムを駆使するところ。後半はステルスゲームになっているので、終盤は完全にゲームになっていました。あと『トップガン:マーヴェリック』のときにも思ったのですが、最近『メトロイドゼロミッション』みたいな質感、展開の映画が増えた気がします。
本作ではプレデターが普通の人間と同じようにプレデター語を話すのですが、主人公にプレデターを据えて、しかも言語を話すとなるとなんだか普通のアフリカ戦闘民族のようにしか見えません。崇高な精神を持つ戦士を描くとなるとだいたいアフリカの戦闘民族か『七人の侍』の久蔵みたいなキャラ造形にしかならないんですけど、ハリウッドはこの2パターンしか手札を持っていないんですかね。
何がプレデターをプレデターたらしめるかを製作者ももう少し理解していてほしかったのですが。僕自身プレデターの良さは「向こうの思想や言語は直接的に理解できないが、どうやら地球人以上に崇高な精神を持っているらしい」となんとなく伝わってくるところにあると思うんですよね。
プレデターとは別に本作の別の主演であるエル・ファニングは演技が良かったですね。陽気な妹とクールな姉の一人二役をやっているのですが、僕は途中まで両方ともエル・ファニングだとは思いませんでした。ちょっと調べてみるとエル・ファニング、まだ27歳なんですね。キャリアが長いのでさすがに32歳ぐらいかと思っていましたが、32歳は実姉のダコタ・ファニングの方でした。ダコタはダコタで32歳と聞くと「もう32歳!?」と思ってしまうのですが。
エル・ファニング演じるティアはちょっと喋り過ぎかなと思ったのですが日本のアニメが好きな人は気にいるのではないでしょうか。ただエル・ファニング、エマ・ストーンと同じく可愛らしい見た目と反して声が渋いので、日本語吹き替えだったらもっとフィットしていた気がします。(僕は字幕で観てしまっていたので)
残念だったのは、下半身がないアンドロイドであるティアは、物語の大半で主人公デクに背負われながら旅をするのですが、そこの二人の協力プレイアクションがなかった点ですね。背負われなくなった終盤に二人のコンビプレーアクションはあって「おぉ、そんな戦い方があるか!」とフレッシュな動作設計はされていたものの、僕が観たかったのは「背負われて」のコンビプレーなんですよねぇ。
またティアの製造元がエイリアンシリーズでもお馴染み、ウェイランドユタニという設定だったのですが、昔は「日系企業を悪役にしやがって」と思ったものですが、ここまでの長寿フランチャイズに出てるとなるとなんだか日本人として誇らしくすら感じてきましたね。
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映画としてのオチもバシッとキマっていたし、タイトでコンパクトな良品アクションだったので僕は満足できました。あとは尺が20分削って90分ちょうどに刈り込めていれば本当にちょうどいいエンタメ作品になっていたかなと思います。