・やる気はあるはずなのに、どうしても努力が継続できない
こういった悩みは尽きないと思います。
僕はもともと劣等生で、高校3年間は合計で100時間も勉強しなかったほどの怠け者。それがある出来事をきっかけに仕事終わりで毎日1日1時間以上勉強できるようになり、事務職から組み込み系エンジニアとして大手企業に転職することに成功しました。
世の中「努力をしたいのだけれども、なぜか続けられない」という人は多いと思います。ですがネットでバズを呼ぶ勉強系の記事はどれも「元々才能があった人がちゃんとやる気を出した」だけの事がほとんどで、我々凡人には真似ができません。
ネットで勉強系の記事を読む人の大多数は「トップになりたい訳では無いが、せめてこの漠然とした劣等感を消したい」と思っているはずです。そしてその劣等感は今の日本であれば1日1時間の勉強で十分消すことができると思っています。
今回は1日1時間の勉強という誰もが無理なくできる範囲で努力を継続する具体的な方法を書いていきたいと思います。
この記事の筆者
Fラン文系大学卒業→ブラック企業の事務職に就職。
20代後半でエンジニアに転身し、1日1時間勉強を継続することで3年で大手企業に転職でき、年収を150万円上げることに成功。
やる気はあるが、続かない
僕はもともと意識だけは高い方で、高校時代からビジネス書や自己啓発本などを読み漁っていました。そこで色々な勉強法を目にするものの、実際の勉強となるとからっきし続かないのです。ビジネス書や自己啓発本であれば何時間でも読めるのにいざ机に向かって勉強をしたり、筋トレをするとなると全く動けなくなる。
「このままではダメだ」とたまに本気で勉強をしてみるのですが、ことごとくうまくいかない。何度テキストを繰り返してみても同じところで間違えるし、間違えなくなってもテストでちょっと捻った問題が出されると太刀打ちできなくなってしまう。受験勉強について書かれた本や記事を見れば「忘却曲線に沿って3~6回復習できれば頭にはバッチリ入るはずです!」と書かれているものの、自分は10回以上復習しても覚えられず、一時は「自分の頭には何か障害があるのではないだろうか」と思い、検査に行こうかと思ったほどです。
そういった経緯もありほとんど勉強しなくなった僕は当然のごとくFラン大学に入学することになるわけですが、そうするとまともな就職口もあるはずがありません。就職課に勧められた中小の家電メーカーの事務職に就くものの、そこがブラックでサービス残業は当たり前な上に給料は全く上がっていかない。この時期の僕は本当に暗黒期だったと思います。
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目の前の仕事を真面目に頑張っているはずなのに給料は上がらず、贅沢はほとんどできない。こんな給料じゃ結婚はおろか彼女さえできない。年収を上げようと真面目に働いたって結局会社にいいように扱われるだけ。他社に転職しようにも事務職では即戦力になれるようなスキルも無いので、できない。
何とか自分を変えたいと思っているときに「筋トレ3ヶ月のビフォーアフター!!」というバズった記事を見つけ、自分と同じようなガリガリ体型の人が短期間で変わっているの見て「これだ!」と思い筋トレに挑戦するものの、1ヶ月経っても少しも変化せず、断念。
それでも心のどこかでは「このままでは終わりたくない」と思って勉強系の記事を読み漁り「ダメリーマンだった僕で社内でNo.1になった方法!」というような逆転系サクセスストーリー記事を読んで、心機一転仕事終わりに勉強をしてみるものの、やっぱり数日でやる気が無くなってしまう。そして後にその記事を書いた人が旧帝大出身の実は地頭がいい人だと分かり「元のスペックが違うだけじゃないか!」と毒づきます。
社会人になって数年も経てば周りとの差はどんどん開いていって、中には結婚をする者も出てきます。自分はファミレスで会計が700円以上になると「痛いな…」と思うぐらいなのに、友人は結婚もして車も持って、ましてや家まで買おうとして「一体どうやって稼いでいるんだ? そしてなんで俺はここまでも稼げないんだ」と落ち込みます。
誰に対しても、特に女の子に対しては誠実に接しているはずなのにぞんざいに扱われる。女の子はみな普段は「優しい人が好き」と言っているのに自分が近づくとそっけない態度をとる一方、人を傷つける行動しかしないチャラ男にばかりなびく。普段いかに彼氏から酷い扱いを受けているかばかり話す割には全く離れようとしないし、相談に乗って「そんなにひどいなら別れれば?」と勧めると「本当は良いところもいっぱいあるんだもん」とさっきとは打って変わって突然擁護に回る。もう意味がわからない。自分だったらそもそも女の子を泣かせるようなことは絶対にしないのに。
「そんなに自分の境遇を変えたいのなら努力しなくちゃダメだろ。お前はどんな努力をしてるんだ? えっ、何もしてない? そりゃ何も変わらないだろ」。分かってる、境遇を変えるには努力するしか無いのは分かっているんだけど、やっても無駄なんだ。そういうことを言いたくなる気持ちも分かるけども、こっちも今まで色々挑戦してきたんだ。そんな正論で責めないでくれ。自分だって努力して結果出したいんだよ。でも努力できないんだ。それに世の中1回言われればすべて覚えてしまう人間がいる傍ら、自分は10回言われてやっと覚えるくらい。つまり何をやるにも天才の10倍は努力しないとダメな中で頑張る意味って一体何があるんだ。
…ん、最近バズってる記事を見ると人の頭の良さや学歴、年収は親からの遺伝で決まってしまうという研究結果が出たそうだぞ。つまり自分がいくら意識が高くても実際に勉強できないのは遺伝のせいだったのか!! そうか、自分は悪くないんだ、すべて世の中親ガチャ環境ガチャが物を言うんだ!! 勉強できないのは決して自分が怠け者だからとかそういうわけではないんだ!!
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どれだけ言い訳してみても、劣等感は消えない
新卒の頃は「親からの遺伝で人生の大部分が決まってしまう」という記事を読み漁っていたのをよく覚えています。色んな記事を読み漁りその説の確度を高めていくことで「自分が努力できないのは怠け者ではなく、遺伝のせいなのだ」と安心していたのです。
しかし家でネットに入り浸り、自説を強めて安心していたところで会社に出勤してみれば、通勤途中の電車で隣の女子高生に不自然なほどソーシャルディスタンスを取られてみたり、何度も注意されたところでまた同じミスをして上司に叱られたり、疲れ切った退勤時に向こうから歩いてくるゴツめの男にわざと肩をぶつけられたりすれば、そんな安心は瞬時に消えて元通りなのです。
どれだけ言い訳してみても、長年の人生経験で培ってきた劣等感は、数百文字の記事を読んだところで消えません。
どれだけ頭が悪かろうと地道に努力をして結果を出して、自分のスペックを変えない限りは同じことの繰り返しになる。
このことに気づいたのは20代中盤で好きだった女の子にフラれたときです。その子とは出会ったときに圧倒的なスペックの差があり、当初から「これはうまくいかないだろうな・・・」と思っていました。そして案の定、うまくいきませんでした。そのときに心底自分を変えたいと思ったのです。
この話をすると「そんな人生を変えるほど好きになれる女の子に出会えてよかったね」と言われるのですが、テンションとしては「クソっ、絶対にスペックを変えて見返してやる!!」というものではなく「やっぱりね。そりゃ俺と向こうではスペックに差がありすぎるから敵うわけ無いだろ」という落ち着いたものです。
今まで散々自分の人生で毒づいて努力から逃げ回っていましたが、逃げるだけでは劣等感を払拭することはできません。好きだった子にフラれたおかげで「スペックを変えなければまた同じことが起きてしまう」と前を向くことができたのです。いわば絶望の底についたという状態で、いよいよこれ以上の逃げ場がないと悟りました。
努力が継続できないのは実利をイメージできないから
やる気はあるのに努力が続かない人は、それまでの人生で成功体験があまりないことが多いです。そして成功体験がないからこそ努力を継続することの実利がイメージできず、どうしても体が拒絶反応を示してしまうのです。
人間は基本的に食う・寝る・スケベの基本的な欲求に直結することしかできません。それもそのはず、今の日本のような安全な社会ならまだしも、これがマンモスを追っていたような原始時代であれば、目の前の食う寝るに直結しないことに延々と時間を費やせてしまうような人間はあっという間に死んでしまっていたでしょう。裏を返せば食う寝るに直結することのみ集中できて、それ以外は途端にできなくなってしまう者のみが生き残ってこれたのです。
ではどうすれば努力に実利を感じられるようになるかというと、それはなるべく早く「努力をして目標を達成すると自分の生活が豊かになる/楽になる成功体験を積む」のです。
僕が1日1時間の勉強習慣を作るにあたってまず始めたのはExcelのグラフ作りです。今まで勉強習慣がなかったものがいきなり負荷の高いことをやってもダメだろうということでなんとなく前々から気になっていたグラフの作り方を基礎から学んでみるとこれが大当たり。家で勉強したことが次の日から職場で使え、自分の仕事が楽になったのです。
それに前々から「なんとなくでグラフを使っているけど、どこかでちゃんと勉強しなきゃダメだよな」とずっと心に引っかかっていたのが、このようにちゃんと勉強することでストレスが大幅に軽減されたのです。
やればできることをやれ
僕の場合は最初にExcelのグラフの作り方を勉強しましたが、職場でExcelを使っていないところも多いはず。その場合は「なるべく短時間で習得できて・覚えた事柄が即日役に立って・誰からもその努力量が分かる」ものをやればいいと思います。
具体的に言えばFP3級。
FP3級は日本人であれば誰しも知っておきたい社会保障や税制、不動産などの話が過不足なくまとまっており、これを学べばニュースで取り上げられる内容もだいたい分かるようになります。勉強時間も50~100時間ぐらいで習得できて、資格が取れた際には周りから一定の評価をもらえます。
特に自分に自信のない人は資格を取るのがオススメで、資格のように誰から絶対的なお墨付きをもらうことは自信をつけるのに非常に有効です。よく「根拠のない自信を持とう」とは言われますが、根拠のない自信はいざという時に脆く崩れ去ります。根拠のある自信は根拠があるだけに、どんなときでも崩れません。
この手の話をするとよく「FPなんか勉強してもしょうがない」というようなことを言われるのですが、もちろん実生活に役立つ勉強が他にあればそれでも構いません。ただしTOEIC860点突破や、簿記1級のような達成するのに数千時間かかるようなものをいきなり取り組むのはやめましょう。
自分に自信がないといざ勉強を始めるときに「今までの負け分を取り戻したい」のと「いざ達成できなかったときに言い訳ができるように」と無茶な目標を掲げることがあるのですが、あくまでもやればできることを確実にやっていって成功体験を積み、徐々に努力の範囲を広げていくのが重要なポイントです。
メリットが有るならそりゃやるでしょ
昔は「勉強が楽しい」という人が信じられませんでした。しかし今では彼らの言わんとすることも分からなくもないなと思います。
僕も最近は休みの日も学習教材を買って勉強したりするのですが、周りから「せっかくの休みを削って勉強して偉いね」と言われます。ただ僕自身は偉いだなんて全く思っていなくて、過去の経験から勉強をすると自分の仕事が楽になったり、それで年収が上がったりすることが分かっているので「メリットがあるんだからそりゃやるでしょ」といった気分です。
感覚的には自分の自転車に空気を入れたり油をさしたり、キッチン周りをニトリで買った収納グッズで整頓するようなもので、これをやれば自分の移動が早くなったり料理が手早くできるようになったりとメリットが有るとわかっているからやっているだけであって、それを周りから「自転車をメンテして偉いね」「きちんと収納して偉いね」と言われたところで「はぁ・・・」といったところです。
とはいえ僕の努力量もあくまで1日1時間という誰でもできる範囲内で収まってます。これが2時間3時間になると難しい。先程の自転車とキッチンの例で言えば「空気入れたり油をさすのはできるけど、部品をまるっと変えるとなるとしんどいぞ」「キッチンをDIYで根本的に構造を変えるとしんどいぞ」といった具合です。
劣等感が消えた
ほんの数年前まで劣等感の塊だった僕は、今ではその感覚もほとんど消えつつあります。それは今までの1日1時間勉強によってスキルが身につき、実際に転職に成功し年収も大幅に上がったからです。そういった成功体験があるからこそ「今の会社でクビになるようなことがあってもまたコツコツと勉強を積み重ねれば再起できるだろう」と自信を持つことができるのです。
そういう成功体験があるからこそ新しいことに挑戦するハードルが低くなるし、低くなるからこそ成功することができる。成功体験が雪だるま式に膨らんでいくんですよね。
僕の場合は「TOEIC860点を突破する!」という目標を掲げてだいぶ苦労しつつ達成できたのですが、このTOEICという誰でも分かるテストで結果を出せたおかげでずいぶん色んな人から褒めてもらえ、それにより自信をつけることができました。
TOEICでなくても例えば宅建であれば未経験から300時間程度で合格できると言われ、また不動産業をやるには各店舗1人は必ず資格を持った人間を配置しなくてはいけなということで、宅建を持っていればそれなりに高給をとることができるのです。
こういった人生のセーフティーネットを持つことができれば劣等感は消えるでしょう。
それも1日1時間の勉強量で十分達成可能なのです。
以上が努力を継続する方法の解説でした。
今のSNSを見ているとかつての僕のようにやる気はあるもののどうしても動くことができない人が多く観察されます。
「なんで俺は努力ができないんだ」と愚痴を吐いてみても、少なくとも毎日そうやってSNSでつぶやいたりネットゲームをやったりと、別のことに熱中できるのであれば努力を継続する余地は多分にあると思っています。
もちろん世の中は公平ではないので他の人が1時間でできる作業が自分は5時間かかってしまうこともあるでしょう。そもそも生まれ持ったものでやってもできないことも多々あると思います。
しかしその中で「やればできる」ことも少なくない数あるはずです。
ですので僕と一緒にこれから、やればできることを確実にやっていきましょう。
トップにはなれなくても劣等感を消すぐらいのまではきっとできるはずです。