長らくSNSをやっていると、どの界隈でも必ずインフルエンサーと呼ばれる人が現れ、それと同時に「あのインフルエンサーのやってることは全部フェイクだ!」と批判する人も現れます。
特に僕はプログラミングとブロガー界隈という中身の程がよく分からない情報商材が出回る業界にいるので、「あいつの売ってるプログラミング教材は中身がスカスカで何も身につかない! 情弱を食い物にしてる!!」といった批判を見ない日がありません。
ただ僕はこういうインフルエンサーの売る情報をやみくもに批判をするだけでは意味がないと思っていて、批判とセットで「そのインフルエンサーが扱っている情報よりももっと効果の出る情報」を提供してあげないと、現状は何も変わらないと思うのです。
インフルエンサーがインフルエンサー足る所以は、やはり一般が何を求めているか的確に察知し、そこに対して確実に提供するという「価値の創造」が出来ているからで、ただ単純にキレイ事を並べたところで誰もついてきてくれるわけではないのです。
例えばプログラミング界隈だと「この教材をやれば未経験から1年でフリーランスとして年収1000万円突破可能です!」みたいなフレーズが踊り、そこに多数のフォロワーたちが群がるわけですが、そんな状況に対して「あいつの言ってることは全部フェイクだぞ!」と声高に叫んだところで「1年でフリーランス年収1000万円」というところにワクワクしちゃってる人からすればいい迷惑でしか無いわけです。
これってジャンクフードにハマって太ってしまっている人に対して「ジャンクフードは止めてダイエットしなよ」と言っているようなもので、そこに対してどれだけ「ジャンクフードはどれだけ体に悪いか」「太っていることがどれだけ損をするか」という論点で語りかけたところで、素直にその意見を取り入れることはないでしょう。
なぜなら本人だってジャンクフードが体に悪いことも知っているし、太っていることも世間的に良くないことは知っている。
ただ目の前のジャンクフードの味は最高だし、仮にオーガニック食品を食べて健康的でスリムになったところで、そこから得られる幸福感がジャンクフードを食べたときに得られる幸福感を超えられるとは到底思えない。
つまりは
ジャンクフードを止めたことで得られる幸福感 > ジャンクフードを食べたときの幸福感
の図式が成立しないと、人はジャンクフードをやめられないのです。
インフルエンサーの扱っている情報がたとえどれだけフェイクが混ざっていようと本人にとって多少なりとも有益なのであれば、それを止めさせたい側の人間はインフルエンサーよりももっと有益な情報をぶつけないと本人も止めようがありません。ジャンクフードの例で言えば、ジャンクフードよりも「より美味しく、かつ健康的」なオーガニックフードをぶつけるべきです。
代替案を提示しない状態で、何かの加減で直近では止めさせれたとしても、また別の美味しそうな話が出てきたらそちらに移ってしまうだけなのです。
たまにTwitterやブログで「○○界隈の闇」と言って、延々とインフルエンサーの提唱するメソッドに効果がないことを告発する発信をされている方がいますが、本気で界隈をクリーンなものにしたいのであれば、単純に告発をするだけでなくもう少しやり方を考える必要があります。
いわゆる「ちゃんと技術力を高めて熱心に仕事をしている俺に人気が出なくて、耳障りの良いことだけしか言ってないあいつに人気が出てるだなんておかしい!」状態、通称「私がモテないのはどう考えてもお前らが悪い」になっている人も多く、それって各方面に不幸な結果しか招かないんですよ。
状況は異なりますが、かつて僕が上司から言われた印象的な一言がありまして
あのな、お前は「なんで女は自分を不幸にしかしないチャラ男にばっかりなびくんだ!」と言うが、それはお前なんかと一緒にいるよりチャラ男と一緒にいたほうがよっぽど楽しいからだよ。
もしお前に本当に価値があるならなんで20年以上も生きてきて女からほとんど告白されたことがないんだよ?
それはな、ただただお前に価値がないからだ。
お前ら非モテはそうやって自信なさそうに生きてる割には、女が「本当の自分」とやらを見てくれれば自分のことを好きになってくれると思ってやがる。
現実にはもっとキツく長い文章で言われましたが、要約するとこう。
当時は大変心をエグられましたが、振り返ってみると社会人になってすぐの段階でこの言葉を聞けたのは良かったなと思います。
現代でこれだけネットやSNSが流通した時代にあって、物の価値って正確にジャッジされてしまうんですよね。
だから本当は価値のないものがいつまでも価値があるようには振る舞えないし、逆に価値があるものが価値の無いように振る舞うことは出来ません。
「あのクズ男は女性を食い物にしてる! 俺なら絶対にそんな事をしない!!」と自分の誠実さをうそぶいても、現時点で女性が寄ってきてくれていないのであれば、そんな誠実さなど何の意味もないのですよ。
それと同様に「あのインフルエンサーは技術力が全く無い割には調子のいいことばかり言っている!」と言ったところで、そのインフルエンサーよりも稼いでいないのであれば、技術力など余計なものにしか過ぎません。「確かに技術力がないとして、そのインフルエンサーより技術力があるはずのあなたはなぜ彼よりも知名度がなく稼いでもいないの?」という話にしかならないので。
さて、話を戻すとかくいう僕もインフルエンサーやビジネスの世界での成功者の言う耳障りのいい言葉に騙されてきたクチで、この世からはなるべくそういった不正確な情報は出回ってほしくないと思っている人間です。
だからこそ僕もこのブログで今やってるプログラミングや英語の勉強記録を熱心に投稿して「このスキルを身に着けようと思ったら実際はこれぐらいの時間がかかるよ」ということを身をもって証明しようとしています。
もちろん不正確な情報に対して「あの情報は不正確だ!」と声を上げることも大切ですが、それ以上に「それとセットでもっと有益な情報を提供することも大切」ということも周知されたら良いなと思います。