今回はプログラミングスクールについて書きたいと思います。
僕は以前TechAcademyというWeb上ですべて完結し、実際に校舎に通わなくてもプログラミングが学べてしまうスクールで勉強していました。
プログラミングスクールに関する悪い噂は毎日のように飛び交っていて、例えばTwitterでも「○○は授業料が高い割に現場で必須の□□という技術を教えていない!」であるとか「△△はメンターの質が悪過ぎで、質問してもまともな答えが返ってこないからあそこには行かないほうがいい!」といったツイートを見かけない日はないと言っていいでしょう。
かくいう僕もTechAcademyに対し受講直後は色々思うところがあり、このブログやTwitterで苦言を呈していたのですが、しばらく時間が空いた今、冷静になって振り返ってみるとTechAcademyもかつて自分が言っていたほど悪い学習サービスではなかったのかなぁとも思うようになりました。
そしてよくよく考えていくと今の日本のプログラミングスクールは恐らくどこに入校しても同じような不満が出る。
ではなぜ今の僕がTechAcademyがそれほど悪いサービスだと思わなくなったのか。
そしてなぜどこのプログラミングスクールに入校しても同じような不満が出ると結論づけたのか。
今回の記事はどこかのプログラミングスクールに通おうと迷っている人、そして実際にどこかのスクールに通って後悔している人には、ぜひ読んで欲しい記事となります。
スクールのカリキュラムは必然的に内容が薄くなる
プログラミングスクールのカリキュラムで一番よく聞く批判が「内容が薄い」というものです。
これについては僕も以前ブログでTechAcademyのカリキュラムについて同じような苦言を呈しました。
ただ、突き詰めて考えていくとカリキュラムの内容が薄くなるのは必然的で、それは商業上仕方のないことなのです。
例えばスクールとして生徒にどれだけの時間をかけさせられるかと言うと、やはり3ヶ月で200時間が限界だと思うのです。
3ヶ月200時間というのは僕がTechAcademyを受講した時の期間と勉強量で、平日1時間/休日3時間で3ヶ月トータル200時間。忙しい仕事の合間を縫って捻出できる時間と、それでいて保てる集中力の期間はこれぐらいが限界でしょう。
もしこれを生徒側が頑張って3ヶ月で400時間や600時間も確保できるのであればカリキュラムも濃くすることが可能です。短期間でこれだけの時間は無理だというのであれば6ヶ月で600時間。ただ、現実問題として普段仕事がある片手間で半年間もモチベーション高く学習を続けられることができるのでしょうか? 受験勉強のように周りからのある程度の強制力があるのであれば話は変わってきますが、辞めたところで実生活になんの影響もないプログラミングスクールを半年も継続するというのは並大抵の集中力ではありません。そう考えると一番現実的なラインは3ヶ月で200時間。
そうなると200時間で一体何がやれるのか。
正解は、何もやれません。しょせん200時間ですから。
実際の業務に入ったら200時間などちょっと頑張れば1ヶ月ですぐカバーできてしまう量なんですよ。
だからスクールの「現場で即戦力となれるような力が身につきます!」という煽り文句を真に受けてはいけないんですよ。
ただ、スクールもスクールでお客さんを呼ばないといけないから現場で通用するような力が身につくと誇大広告を打ってしまう。でもカリキュラム的には嘘をついてはいけないので「200時間では無理目な量で、広く浅く」になってしまうんですよ。
幅広く技術に触れておけば周りからツッコまれたとしても「一応カリキュラムとしてはこの技術について触れてます!」と言い訳が立ちますからね。
料金に関する意識が低すぎる
次に多い不満がこれ。
例えばTechAcademyであれば3ヶ月で20万円。実際に校舎に通学するタイプのプログラミングスクールであるTechExpertは6ヶ月で80万円。
プログラミングスクールの料金は何かとエンジニア界隈で騒がれるのですが・・・
いくらであれば適正価格だと思いますか?
TechAcademyで言えば、(内容は薄いとはいえ)フロントエンドの知識を一通り網羅したカリキュラムを作成し、生徒からの質問にいつでも回答できるように15~23時までは講師をSlack(質問用掲示板)に張り付かせ、そして週2/合計1時間のビデオメンタリングを実施する。
これでいて3ヶ月20万って高いんですかね?
80万円という価格が話題になったTechExpertにしても繁華街の一等地に校舎を構え、朝から晩まで教室を開放し、それでいて6ヶ月で500時間の学習量を提供する。果たしてこれが高いのかどうか・・・。
普段エンジニアの人たちは「エンジニアが薄給でいいように使われている!!」と叫ぶ割に、いざ自分がお金を払う立場になると正反対のことをしだすのはかなり気になります。
つまりは、僕たちはスクールに対して過度に期待し過ぎなんじゃないかなぁと思うのですよ。
僕もTechAcademyを受講する前は「20万円もするってことはどれだけすごい学習システムになってるんだ!?」と期待したものですが、よくよく考えてみると3ヶ月20万円でできることなんて結構限られてるんですよね。
他のスクールの経営者の言うことを真に受けすぎ
これは僕がエンジニア界隈で嫌だなぁと思うポイントでもあるのですが、プログラミングスクールは経営者が同業他社のカリキュラムについて悪く言ったりするんですよね。
「よそのスクールでは○○という技術を扱っていないが、ウチではやってる!」
というのが常套句になっていますが、こういう同業他社を悪く言うスクールって必ず "購読型" なんですよね。
TechAcademyやTechExpertが3ヶ月/6ヶ月の期間限定モノに対して、購読型は月会費さえ払えばいくらでも続けられる。
・・・そりゃシステム的に購読型はほぼ無限にコンテンツを増やせるんだから、期間限定式のスクールをディスっちゃダメでしょ。
期間限定式のスクールが「いかに短期間で知識を網羅的に身に着けさせるか」というコンセプトに対して、購読型の「お金さえ払い続ければいくらでも学習が可能」というシステムのスクールが同じ土俵に上げられるわけがなくて、どうしても批判を行いたいのであれば単位時間あたりの学習密度を比較しないといけないと思うのですよ。(実際にそんな比較ができるかどうかは分かりませんが)
なので、そういう購読型のスクールの経営者が同業他社の批判をしている姿を見て「このスクールの経営者は他社の悪いところをしっかり言うから、きっといいサービスを提供しているに違いない!」と言って安易に流れてしまうと不幸な結果しか招かないと思うんですね。
「TechAcademyに騙された! でもこっちの学習サービスは最高!!」と当初は元気よくツイートしていた人もいつの間にかプログラミングの勉強を辞めていたり、はたまた続けていてもいつまでも同じようなコンテンツをぐるぐると学習し続けて「ん? それってトータルで見ると結局TechAcademy以上のお金かかってない?」ということも多々見受けられます。
こういった期間限定式のものと購読型のものが同じ土俵に上げてはいけないものだということぐらい経営者も分かって言ってるんですよ。
それにビジネスの世界では後発が先駆者に勝とうと思うと、ひたすら先駆者の悪い部分を突くしか無いんですね。だから経営者が同業他社の批判をするのも、それは決してその経営者が正直とかそういう話ではなくて、ただ単純に先駆者の見込み客を取ろうとしているだけです。
これを踏まえてどうすべきか
結局冒頭の結論に戻るわけですが、恐らく今の日本でそこそこ名の通ってるプログラミングスクールであれば身につくスキルなんて大差ないですし、だいたいどこも同じような不満は生まれます。
僕の友人でTechExpertに通っている人間がいるのですが、彼も僕がTechAcademyに対して抱いた不満と同じようなことを言っていて思わず笑ってしまいました。「カリキュラムは薄くてクソ」「メンターの教え方はクソ」と。
今どきプログラミングに関する情報はネット上に無料で全部書いてあって、スクールはあくまでも学習継続装置でしかないんですよ。プログラミングは独学でやっていたら確実に挫折しますからね。
なのでエンジニアを目指すのであればどこかのスクールに入って最低限のことを身に着けたら、あとは自分で足りない部分を勉強していくか、スクールを卒業したらポートフォリオを携えてすぐ就職してしまうのがベストだと思います。