転職活動をしていると、耳にしたくない言葉に出会うことがあります。
「職務経歴書やポートフォリオを立派に作る人ほど、実際の仕事はできない」──採用担当者や面接官のそんな発言です。
自分なりに工夫して経歴書を仕上げ、これまでの経験を少しでも良く伝えようとしているのに、その努力が「逆効果」と言われてしまう。まるで頑張れば頑張るほど評価が下がるようで、不安になる方も多いはずです。結論から言えば、企業が「ハズレ人材を採用してしまった」と嘆くのであれば、それは100%企業側の責任です。応募者が負い目を感じる必要は全くないのです。
この記事の筆者
一般入試でも科目選択によっては英語を受験しなくても入学できるFラン大学文系学部出身。
20代後半からエンジニアに転職し、現場経験を積んでからメーカーに転職。現在はフリーランスのエンジニアとして活動中。
改善を行おうとしない採用担当
自分が所属するIT業界の話にはなりますが、自分が未経験からエンジニアに転職した2018年頃は巷で未経験からのIT挑戦ブームが起こっており、主にプログラミングスクールを主体として「エンジニアに転職すれば1年で年収1000万円/フリーランス/フルリモート!!」という景気の良いフレーズが喧伝されていました。
しかしコロナ禍以降での未経験からのIT転身希望者の供給過多や、転職ブームから数年が過ぎ去り「未経験からどれぐらいの年数でどれぐらいのスキル感があれば年収はいくらになるのか」のデータが出揃いました。そのデータを鑑み、「1年で年収1000万円は無理だよね。でもコツコツとスキルを身につければ確実に年収は上げられるよね」と、一発逆転ではない地道な努力を重ねるムーブメントが駆け出しエンジニアたちの間では定着したように思えます。
しかしエンジニアがマインドを変化させる一方、企業の採用者たちは自社のブログやnoteで「職務経歴書やポートフォリオを立派に作る人ほど、実際の仕事はできない」「未経験から採用をしてもスキルが身についたところで転職されてしまうので、採用するだけ損」という話を延々としているのです。
いかに自分たちが巷の「ハズレ人材」による被害を受けているか訴える一方、自社の採用プロセスなどを変える気は全く無いようです。
「ハズレ人材」なんて本当はいない
企業が「ハズレ人材」という言葉を使うとき、多くの場合「期待した成果を出せない人」を指しています。たとえば、仕事が遅いとか、指示が伝わらないとか、チームに馴染めないとか。でも冷静に考えると、これは本人だけの問題でしょうか? ある職場では高く評価される人が、別の職場では「使えない」と言われることなんてよくあります。つまり「ハズレ」と見なされるかどうかは、能力よりも企業の期待や環境との相性に左右されているのです。
だから正しく言うなら「ハズレ人材」ではなく「ハズレ採用」。問題は人ではなく、ミスマッチを招いた企業側にあります。
企業側に責任がある理由
では、なぜそんな「ハズレ採用」が起きるのか。理由はシンプルで、採用から育成までの責任を企業が果たしていないからです。
採用プロセスに従って選ばれたのに「ハズレ」と言うのはおかしい
応募者は企業の採用フローに従い、履歴書を出し、面接を受け、質問に答えます。その結果「採用」と判断されて入社するのです。それなのに入社後に「やっぱりハズレだった」と言うなら、それは見極めきれなかった企業が100%悪い。だって不採用のときは「応募者が至らなかった」と言うのに、採用した後に何かあれば「本人のせい」って…都合が良すぎませんか?
入社後のフォローを放棄している
採用はゴールではなくスタートのはずです。にもかかわらず、教育体制の整備や業務フィードバックの機会もなく、新人を放置して成果が出ないと「やっぱりダメだった」と言う。これは明らかに企業の怠慢です。ブログやnoteで愚痴を吐いている暇があれば社内の教育資料でも作成して、新人がスムーズに業務に入れる体制を構築したり、また単価を上げれるようにすべきなのです。
マネジメントと報酬設計の矛盾
企業はなるべく安く人を雇いたい。応募者はなるべく高く雇ってもらいたい。これは自然な駆け引きです。だからこそ、応募者が職務経歴書やポートフォリオを磨くのは当たり前の努力です。それを「見栄を張っている」と揶揄し、採用したのに「思ったほどじゃなかった」と責任転嫁するのは、結局企業の判断ミスにすぎません。
転職希望者が知っておくべきこと
ここまでを踏まえると、転職希望者が覚えておくべきことは明確です。
職務経歴書やポートフォリオを作り込むのは正しい努力
立派に作ることを恥じる必要はありません。
口先だけで自分の経歴やスキルを余すことなく伝えられるのであればよいですが、自分のプレゼンスキルが低いと自覚しているのであればなおさら職務経歴書やポートフォリオは作り込むべきでしょう。
僕自身転職の面接ではパワーポイントを使って自分の強みをプレゼンすることを推奨していますし、実際自分も面接の場でパワポを使うことでメーカーからの内定を勝ち取りました。
「ハズレ人材」というレッテルは企業の失敗
一社の短絡的な評価で、自分の価値を疑う必要はありません。
結局企業の風土や現場の業務にマッチするかどうかはガチャ的な要素が強いです。仮に「自分の身の丈に合った」企業に入ったところで周囲の人間との折り合いがうまくいかなかったり、担当した業務が合っていなかったら「ハズレ人材」扱いされるわけですからね。
単価の安い仕事=自分でもできる仕事というわけではないので、会社で「ハズレ人材扱い」されたらまた別の企業に挑戦しましょう。
自分もかつては転職の面接の場で色々なテクニックを駆使して内定を勝ち取った経験があるので「職務経歴書やポートフォリオを立派に作る人ほど、実際の仕事はできない」という言葉に負い目を感じることもありました。
しかし「コネでねじ込まれた」や「ゴリゴリに経歴詐称していた」ならまだしも、企業側が用意した採用プロセスに沿って面接を行い、それで採用を出したのに「ハズレ人材を"掴まされた"」と言うのはさすがに節操がないのではないかと思うようになりました。
そんなにもハズレ人材を掴まされたくないのであれば、面接の一時間では職務経歴書も一切用意させずに、口頭のプレゼンだけで面接するとか、高い日給を出して1日働いてもらうなど、やりようはいくらでもあるはずです。採用プロセスは変えたくない、コストもかけたくない、でもハズレ人材は引きたくないというのはさすがにワガママが過ぎるのではないかと感じるんですよねぇ。
ということで我々労働者はそんな採用担当者の言葉には惑わされず、自分の経歴や持っているスキルは余すことなく転職の面接の場で伝えて、少しでも高い給料をゲットしてやりましょう!
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