AmazonPrimeで映画を何本か観ました。
①シン・ウルトラマン
上映時間
113分
オススメ度
星5点満点中:★★★★
ストーリー
謎の巨大生物「禍威獣(カイジュウ)」が次々に現れ、その存在が日常となった日本。通常兵器が全く通用せず事態が長期化する中、政府は禍威獣対策の専従組織・通称「禍特対(カトクタイ)」を設立する。田村君男(西島秀俊)を班長に、さまざまな分野のスペシャリストから成るメンバーが任務に当たる中、銀色の巨人が突如出現。巨人対策のため、禍特対には分析官・浅見弘子(長澤まさみ)が新たに配属され、作戦立案担当官・神永新二(斎藤工)と組む。<Yahoo!映画>
感想
企画/脚本・庵野秀明、監督・樋口真嗣という『シン・ゴジラ』と同じような布陣で制作された本作。『シン・ゴジラ』の時は現場庵野秀明が実権を握っていたものの、本作『シン・ウルトラマン』は現場に庵野が不在ということで樋口監督が全面的に演出をコントロールしたとのこと。
僕の中で樋口監督は「やりたいことは合っているが、やり方があまりよくない男」というイメージ。劇場ではどれも作品を観たことはないものの、デビュー作の『ローレライ』から始まって監督作品はほぼすべて観ています。どの作品も観客を楽しませようと色んな要素を詰め込もうとしている姿勢は本当に評価できるのですが「なんでそういう演出になっちゃうの!?」と思うことがほとんどです。
さて『シン・ウルトラマン』については樋口監督作品でありながら非常に楽しめました。というのも実質的な前作である『シン・ゴジラ』でやるべき演出方法が見えていたので、現場でも監督本人やスタッフ、キャストも「あー、こんな感じでやればいいのね」と方向性の統制が取れていたんじゃないかなぁと推察します。
本作の演出については『シン・ゴジラ』同様「もしも日本にウルトラマンが現れたら」という過程を徹底的にリアルに描きます。『シン・ゴジラ』よりかはかなりSF寄りではあるものの、観ている間「ゴジラのような怪獣が現れると日本はあんな感じになったけど、ウルトラマンという知的生命体が現れた場合はこんな感じになるなかぁ」と勉強になって楽しめました。
現場では8台ぐらいカメラをセットしたとのことで、そこから得られた膨大な素材を余すことなく使っていくのでバシバシと細かくカットが割られているし、セリフもハキハキと喋り間も詰められているので退屈しませんでした。邦画特有の悪いところである「間延びした喋り」「意味のない長回し」「ボソボソ喋り」などが排除されていたので、それだけでもものすごく評価できますね。
話題になった長澤まさみの巨大化ですが、これについてはストーリー上、完全にカットしても話が成立するぐらい不要なエピソードではあるのですが、あってよかったなと思いました(笑) 今までの樋口監督であればこういう「ストーリー上不要だが、本人のこだわりとして入れたエピソード」がことごとく外して映画のテンションをダダ下げするのですが、今回は見事にハマりましたね。
全体的にテンポよく話は進むものの、後半からの失速は「おいおい、一体どうした!?」と感じました。特にラストバトル。あそこまで観ていて盛り上がらないラストバトルも珍しいなと思ってしまいました。まぁでも後半失速しても前半の加点があったため、ギリギリ逃げ切って及第点には達した感じでした。
②ドライヴ
上映時間
100分
オススメ度
星5点満点中:★★★★
ストーリー
天才的なドライブテクを武器に、昼は映画のカースタント、夜は強盗逃し専門の運転手をしているドライバー(ライアン・ゴズリング)。ドライバーはアイリーン(キャリー・マリガン)にひそかに思いを寄せていたが、彼女には服役中の夫スタンダード(オスカー・アイザック)がいた。ある日、服役から戻ってきたスタンダードがガレージで血まみれで倒れている姿をドライバーが目撃し……。<Yahoo!映画>
感想
2011年に公開されたニコラス・ウィンディング・レフン監督×ライアン・ゴズリング主演の傑作を10年越しで今更ながら観賞。
この10年でも本作の批評は散々に出尽くしていて今更僕が語ることはありませんが、事前の評判通りものすごく変な映画でした。ストーリーのベースラインとしてはまんま『シェーン』で、シンプルな構成ながら出来上がった映画は『シェーン』とは似ても似つかない作品に仕上がっています。
最初に気になったというか心地よいなと感じたのは、シネマスコープの画面サイズに基づいた画面設計です。2023年現在、時代の流れもあってビスタサイズの映画が増えましたし、IMAXで撮影されたものが一般の劇場にかかると額縁状態になったりと、映画の醍醐味であるシネマスコープを体験する機会はものすごく減ってしまったんですよね。でも本作は2011年製作という時代の特性もあって、完全にシネマスコープに特化しており、観ていてものすごく心地よかったでです。
演出についてはやはりとても変わっていて、画面全体の色調や、自然ではありえないライティング、唐突なバイオレンス描写、セリフもなく見つめ合うだけで伝えるストーリーテリングなど、監督の演出プランをありありと感じました。ひとつひとつの要素はリアリティはないものの、観ていて「監督の中では世界観が完全にできているのだろうな」と思わせるからこそ、突飛な演出に違和感をおぼえることはありませんでした。
中でも「見つめ合うだけで伝えるストーリーテリング」はなんでもセリフにして伝えたがる日本の映画スタッフたちにぜひ学んでほしいですね。劇中ライアン・ゴズリングとキャリー・マリガンはほとんどセリフを交わすことがない… というかライアン・ゴズリングのセリフ自体映画全体でも10個ぐらいしかないのですが、それでも二人がお互いをどう思っているかひしひしと伝わってきますもんね。
いわゆる鬼才と呼ばれる監督は本作『ドライブ』のようにストーリーはベーシックなものにして、演出をオリジナリティ溢れるものにしないとダメなんですよ。本作のヒットで色々と権限を与えられてしまった状態で作ったであろう『オンリー・ゴッド』や『ネオン・デーモン』は評価が低い。ストーリーがベーシックなものであれば話がどう転んでも「結局はこういうことが言いたいんだろうな」と安心して観ていられますからね。
③ハッピー・デス・デイ(1)
上映時間
96分
オススメ度
星5点満点中:★★★★
ストーリー
毎晩飲んだくれながら、さまざまな男性と関係を持つ大学生のツリー(ジェシカ・ロース)は、誕生日を迎えた朝にカーター(イズラエル・ブルサード)のベッドで目を覚ますが、1日の出来事をすでに経験したような違和感を抱く。そして1日が終わるとき、マスクをかぶった何者かに殺されてしまう。しかし目を覚ますと、ツリーは再びカーターの部屋で誕生日の朝を迎えていた。<Yahoo!映画>
感想
「90分ぐらいでサクッと観れて、元気が出る映画」を探していて、これを見つけました。
以前レンタルビデオ店に行ったときにコピーとして「時をかけるビ○チ!!」と書かれていプッシュされていたためどこかのタイミングで観てみたいなと思っておりました。
ここ最近の映画としては珍しいほどに主人公がビ○チで嫌な人間に描かれていて、少し笑ってしまいました(笑) でもそれがタイムリープを繰り返すと段々と性格が変わってきて好感を持てるキャラになってきますし、最後は観ていて不思議な爽快感が生まれるほどラストもバシッと決まっている。一応ジャンルとしてはホラーなのですが、ギャグやタイムリープによる伏線回収などがギッチリと詰め込まれて、飽きることは全くありませんでした。
制作費を見ても480万ドルと驚くほどの低予算。今の時代に映画を作ろうと思うと、どうやっても最低1000万ドルはかかる中で、驚愕の数字です。まぁ確かに派手なアクションシーンもないですし、タイムリープものなので場所も限定されて何個かセットを建てれば使い回しで取れてしまうのを考えればこれだけの予算で収まるかとは思うのもも、観客を楽しませようとするアイデアの詰め込まれ方は素晴らしかったです。
④ハッピー・デス・デイ 2U
上映時間
100分
オススメ度
星5点満点中:★★
ストーリー
何者かに殺される誕生日を繰り返すタイムループから抜け出したツリー(ジェシカ・ロース)は、恋人のカーター(イズラエル・ブルサード)と楽しく過ごすつもりだった。ところが彼のルームメイトのライアン(ファイ・ヴ)が殺人鬼に狙われるタイムループに陥り、理工学部で学ぶライアンたちが開発した量子冷却装置(SISSY)が原因だと判明する。彼らは研究室に行き、そこで装置から放たれたビームをツリーが浴びてしまう。<Yahoo!映画>
感想
前作『ハッピー・デス・デイ』があまりにも面白すぎたので、そのまま続きも見てしまいました(笑)
が、予想していたよりかは面白くはなかったかなぁ。というのも前作のようにタイムリープによる伏線回収やギャグを期待していたのですが、そのような流れにはならなかったんですよね。感覚としては『バック・トゥ・ザ・フューチャー2』に近いと思います。BTTFも1はワクワクするような冒険モノだったのが2になるとその要素はほとんどない。BTTFもそうですが、この『ハッピー・デス・デイ 2U』は1作目を観てなくても楽しめるのかな?
連続殺人鬼から逃げるというコンセプトもさすがに今回は無理があるし、映画としても「最終的にはどこに向かっていきたいの?」となかなか全景が見えてこないでイライラしてしまうんですよね。