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考え方

就活は茶番? 茶番だからこそ意味のある就職活動

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 先日カフェで作業をしていると、隣の席の大学生と思しき二人組の言葉が耳に入りました。

 「就活なんてほんと茶番だよな。綺麗事並べてありもしない志望動機語って、真夏でもみんな同じリクルートスーツ着て同じ髪型にして、結局真面目に授業を受けてきた人間よりも遊んできた不真面目な人間の方が内定出るんだから」

 ふむ、一理あります。一理というか、自分自身も学生時代はほとんど同じことを考えていました。けれどもある程度年齢を重ねて役職もつき、下の世代をマネジメントしつつ売上にコミットする立場になってみると、学生時代の就職活動と言うか一見茶番に思えたあの選考方法も一定の合理性があったのだなと理解できるようになりました。今回はなぜあの選考に合理性があるのかを記事にしたいと思いますし、これから選考を受ける学生さんにも役立つ内容を盛り込んでいきたいと思います。

茶番にすら乗れない人間は仕事ができる確率は低い

 まず10年近く社会人をやってそれなりの人数のビジネスパーソンを見てきて感じるのは、就職活動を茶番と分かっていながら、その茶番にすら乗れない人間がビジネスの世界で活躍することはほとんどないということです。ビジネスは基本的に「相手が求めているものを察知して、それを提供する」に尽きるからです。

 飲食店なら食べ物、アパレルなら服、ドラッグストアなら薬。例えば僕で言えばソフトウェアエンジニアですのでお客さんから「この製品をこんな風に動かしてほしいんだけど」とザックリしたイメージを伝えられるので、その要望を汲み取りプログラムを書きます。

 ここで問題になるのは、お客さんというのは自分自身の求めることを分かりやすくは語ってくれないということです。僕のようにエンジニアとしてプログラムを作るような仕事をしていても、いざプログラムが完成してみても「こういう動きを求めたんじゃないんだよなぁ」と言われることがかなりあります。もちろん指示通りにプログラムを作成しているのでお金自体は貰えますが、言われたとおりにモノを納品したところで満足してもらえないことは日常茶飯事です。ですのでお客さんの"本当のニーズ"は自分の頭で考えて読み取っていかなくてはいけないのです。

 

企業は売上を出してくれる人間を求めている

 公務員はともかく私企業の面接というのは「いかに自分の会社を儲けさせてくれるか」を計りたいのです。逆の視点から言えば、応募者(学生)は「採用していただいてその仕事をやらせてもらえればガッポリ売上を出しますよ」と理由とセットでアピールできればよいのです。とはいえ社会人経験のない学生相手に「どう、この仕事で売上出せそう?」と聞いたところで答えに窮するだけなので、しょうがなくガクチカ(学生時代に力を入れたこと)や志望動機を聞いているのです。

 ビジネスは基本的に綺麗事の連続です。お客さんからクレームが入れば内心「(それ、俺が悪いわけじゃないのに…)」と思いつつも「この度はご迷惑をおかけし、誠に申し訳ございませんでした」と頭を下げなくてはならないのです。暑い中意味もなくリクルートスーツを着させるのも、それがいかに自分を押し殺せるかのバロメーターになるのです。

 例えば自分がとあるメーカーの製品を買ってそれが不良品だったときをイメージしてください。会社にクレームを入れたときに奥から茶髪で首元がよれたラフなデザインのシャツを着たオッサンが出てきて「そりゃ大量生産していれば一個ぐらい不良品は出ますよ。運が悪かったと思って諦めてください。それにまず、それを生産したの俺じゃないし」と言われて納得できるのでしょうか。

 ディズニーに行ってキャストに道を訪ねて「あ、俺最近入ったばっかりのバイトなんでよく分かんないス。あともう勤務時間過ぎてるんで他の人に聞いて下さい」と言われてしょうがないかと思えるでしょうか。自分が接客を受けるときは「気持ちはわからなくもないが、せめて仕事中は綺麗事言えよ」と思うのに、いざ求められる側になったときは「茶番だ」というのはあんまりでしょう。

 繰り返しますが、企業が求めているのは売上が出せる人間です。ですので真面目に授業受けて大学を卒業しようが、ほとんど授業には出ず卒業しようが、企業からすればどうでもいいのです。同じ卒業を尺度にするならより少ない出席日数で卒業した人間のほうが魅力的に映ります。同じ売上ならコストは少ないほうがいいからです。

 

就活でやることは意外と少ない

 特に大学生の就活となると初めて企業の面接を受けるということでとても大きなイベントのように思えてしまいますが、意外とやることって少ないんですよね。

  • SPI(学力テスト)
  • 面接
  • 志望動機作成

 SPIもせいぜい対策本4冊合計100時間やる程度。面接も想定質問を100本用意しておくと、どんな質問が来ても100本に集約できますし、それでも答えられないなら諦めがつきます。志望動機作成は正直企業ってそこまで重視してないんですよ。だって社会人経験のない学生に動機を書かせてみても同じ内容にしかならないんで、変な文章を書いていないかの足切りぐらいにしかなりません。

 志望動機の作り方についてちょっと掘り下げておくと、基本的には箇条書き的に志望企業の良いところを3点ピックアップすればいいだけなのです。僕はソフトウェアエンジニアですが、サンプルとして地元の企業の志望動機を書いてみます。

(例)中部電力

 私が御社を志望する理由は3点あります。

 1点目、中部エリアでは最大手のインフラ企業であり、自分で権限を持ってより大きな仕事ができるためです。私はエンジニアとして自分で権限を持って大きな仕事をしたいと思っています。特に中部電力さんとなるとエリアでも最大手の企業であり、電力というひとの暮らしに密接に関係するものを扱っています。ですので御社であればよりやりがいのある仕事ができると考えています。

 2点目、御社が大手企業であり、働き方により選択肢があるからです。私は新卒時は100名規模の中小企業に在籍しておりましたが、やはり中小ですと仕事の選択肢も少なく、また社員でも帰宅後に勉強するというものも少なかったかと思います。私は応用情報やTOEIC875点取得から分かります通り、より自分を高めながら働きたいと思っています。ですので御社であればよりレベルの高い方たちと切磋琢磨しながら仕事ができると考えています。

 3点目、御社が私の地元・名古屋の企業であるためです。私は名古屋という街が非常に好きなため、地元の企業の社員として活躍し、名古屋の発展に寄与したいと思っています。

(例)パロマ

 私が御社を志望する理由は3点あります。

 1点目、中部エリアでは最大手のインフラ企業であり、~中略~。特にパロマさんとなるとエリアでも最大手の企業であり、ガスというひとの暮らしに密接に関係するものを扱っています。(以下略)

 2点目、御社が大手企業であり、働き方により選択肢があるからです。私は新卒時は100名規模の中小企業に在籍しておりましたが、(以下略)

 3点目、御社が私の地元・名古屋の企業であるためです。私は名古屋という街が非常に好きなため、(以下略)

(例)トヨタ自動車

 私が御社を志望する理由は3点あります。

 1点目、日本最大の企業であり、~中略~。特にトヨタさんとなるとエリアでも最大手の企業であり、車というひとの暮らしに密接に関係するものを扱っていますし、これから少子高齢化でより自動車の需要は高まっていくかと思います。(以下略)

 2点目、御社が大手企業であり(以下略)

 3点目、御社が私の地元(以下略)

 お気付きの通り、志望動機はどれも使い回しです。使い回しの上ありきたりです。でも内容よりも書類上で誤字脱字なく書いていることや、実際の面接ではハキハキと大きな声で喋ることのほうが重要です。

 もちろん内容がありきたりなので「それってうちじゃなくて他所の会社でもいいのでは?」と言われるかもしれませんが、その場合は僕は「もちろんそうだと思います。しかし自分のやりたいことを100%実現できる会社はないと思っておりますので、私は自分のやりたいこと以上に縁であったり、いかに企業が私を必要としてくれるかを重視しています」と答えます。それで納得してもらえないのであればこちらに魅力を感じてもらえていないので、多分何を言っても同じなんじゃないかなぁ。

 

 僕は新卒+2回転職で合計3回の就職活動をしているのですが、3回もやっているとさすがに冷静に見れるようになるのですが、就活でやることって数百時間のボリュームしかないのです。たかがそれぐらいのボリューム感の作業なのですから、「茶番」なら「茶番」と割り切って乗り切ってしまいましょう。

★★★★★

 就職活動は確かに茶番に思えるかもしれませんが、それはビジネスの世界で必要とされるスキルやマインドセットを磨く場でもあります。たとえ茶番に思えたとしても数年後きっとその意味が分かるようになります。ましてや、それが茶番であると思っているのであればチャッチャと茶番に乗ってしまって早々に就活を終えてしまいましょう。いずれにせよ、どうせ就活するのであれば選考プロセスの意義を理解し前向きに取り組んでほしいなと思います。

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