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映画

奇跡的なバランス感覚『スーパーマン』

 映画館で『スーパーマン』を観ました。

上映時間

 129分

 

オススメ度

 星5点満点中:★★★★

 

ストーリー

 1938年に発行されたコミックに始まり、幾度も映画化されてきたアメコミヒーローの原点「スーパーマン」を、「ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー」「ザ・スーサイド・スクワッド “極”悪党、集結」のジェームズ・ガン監督が新たに映画化。

 人々を守るヒーローのスーパーマンは、普段は大手メディアのデイリー・プラネット社で新聞記者クラーク・ケントとして働き、その正体を隠している。ピンチに颯爽と駆け付け、超人的な力で人々を救うスーパーマンの姿は、誰もが憧れを抱くものだった。しかし、時に国境をも越えて行われるヒーロー活動は、次第に問題視されるようになる。恋人でありスーパーマンの正体を知るロイス・レインからも、その活動の是非を問われたスーパーマンは、「人々を救う」という使命に対して心が揺らぎはじめる。一方、スーパーマンを世界にとって脅威とみなす天才科学者で大富豪のレックス・ルーサーは、世界を巻き込む巨大な計画を密かに進行。やがて、ルーサーと彼の手下である超巨大生物KAIJUがスーパーマンの前に立ちはだかる。世界中から非難され、戦いの中で傷つきながらも、スーパーマンは再び立ち上がっていく。<映画.com>

 

感想

 素晴らしいバランス感覚のスーパーマン映画が出てきました。

 1978年のリチャード・ドナー監督版『スーパーマン』の大成功以来、何度も実写化を試みては失敗とは言えないまでも微妙な評価が続いていた本フランチャイズ。2025年に来て遂に「そうそう、こういうスーパーマン映画が観たかったんだよね」と言える作品がリリースされました。

 本作を一言で言えば昨今のスーパーヒーロー映画のいいとこ取りをしてうまくつなげた作品。ストーリーとしてはスカッとできる展開だし、アクションも申し分ない。スーパーマンを移民のメタファーとして描きつつ、アメリカ内外の世界情勢を反映した社会風刺も効いている。序盤ではアメリカを多少悪く描きつつも、最後には「アメリカ最高!」となるような作りとなっていました。

 昨今のスーパーヒーロー映画には欠けていた「市民救出シーン」にもそれなりに時間が割かれていたのも好印象です。スーパーヒーロー映画の醍醐味は、その特殊能力を活かして普通の人間にはできない善行をして、市民から尊敬を集めるところにあるでしょう。しかしマーベルに代表される近年のヒーロー映画は本人がウジウジしているか、内輪揉めで延々とマッチポンプをやっているだけで爽快な気分になれるものがあまりなかったんですよね。

 サム・ライミ監督版『スパイダーマン(2002年)』が登場するまではスーパーヒーローというのは牧歌的で、どこか絵空事のような印象がありましたが、スパイダーマン以降、ヒーローがウジウジと悩むようになりました。しかしそれはスパイダーマン以前のヒーロー映画があまりにも浮世離れしているため、そのカウンターとして登場したスパイダーマンが非常に新鮮に見えたのです。

 スパイダーマン以降、実に20年近くこの傾向が続いていたものの、さすがに内省的なヒーロー映画に観客はいささか食傷気味で、本作のスーパーマンの「力を持ってるんだから、何を言われようと正義を貫くしかない!」という力強いキャラクターに爽快な気分になりました。

 ただし、本作を手放しで褒められるわけではありません。確かに誰が観ても及第点を超える作品ではあるものの、本作にしかないフレッシュな要素はあまりなかったように思えます。というのもスーパーマン自体あらゆるメディアで何回もやられていますし、そして敵がレックス・ルーサーとなると、さすがに今まで誰も観たことがないような展開というのは作りづらいよなと思うのです。

 レックス・ルーサーがSNSを駆使してスーパーマンの評判を貶める作戦は現代の世相を反映した展開ではあるものの「フェイクニュースを操って」というのもどこかで既に観た気がします。またレックス・ルーサーが操るガジェットの数々はアイアンマンでも散々見ましたし、ラストバトルのドラゴンボール的戦闘術は既に『マン・オブ・スティール』で観ています。

 とはいえ、既にどこかで観た展開をスーパーマンというフォーマットに見事に落とし込み、破綻することなく120分程度の尺に落とし込んだ監督のジェームズ・ガンの手法はすごいなと思います。多分本作を観て一方的に「駄作だ」という人はいないのではないでしょうか。

 マーベル映画は好きだけど最近の展開に少し疲れてしまった人や、純粋にアクション映画が好きな人は観に行って損をするような作品ではないです。



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