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AmazonPrime 映画

素材をつないだだけのガッカリ映画『憧れを超えた侍たち 世界一への記録』

 AmazonPrimeで『憧れを超えた侍たち 世界一への記録』を観ました。

 ※今回の作品はAmazonPrime会員であれば無料で視聴可能です。

上映時間

 130分

 

オススメ度

 星5点満点中:★

 

ストーリー

 野球日本代表チーム「侍ジャパン」が、2023年3月のワールド・ベースボール・クラシック(WBC)で優勝するまでの軌跡をたどったドキュメンタリー。2017年の「あの日、侍がいたグラウンド」、2020年の「侍の名のもとに 野球日本代表 侍ジャパンの800日」に続き、WBCに挑む侍ジャパンに密着したドキュメンタリーの第3弾。

 2021年12月、栗山英樹が侍ジャパン監督に就任した。誰よりも野球を愛し、選手を愛する指揮官は「世界一」を目標に掲げ、2023年3月開催のWBCに向けて進んでいく。

 3大会14年ぶりのWBC優勝を勝ち取った、史上最強と言われる侍ジャパンがいかにして誕生したのか。代表選手30人の選考会議もカメラに収め、大会直前に行われた宮崎合宿、本大会ベンチやロッカーでの様子、選手の苦悩や葛藤、そして歓喜の瞬間まで、チーム専属カメラだからこそ捉えることのできた貴重な映像の数々で振り返っていく。<映画.com>

 

感想

 劇場で一般公開され、興行収入17億のヒットを記録した本作。公開当時僕も劇場に駆けつけようと思いましたがスケジュールが合わず、断念。何とかして観たいなと思っていたところ、劇場での公開が終わるとほぼ同時にAmazonPrimeVideoで配信が開始されるとのことで、配信当日の0時0分にテレビの前でスナック菓子とジュースをセットして視聴を始めました。

 感想としては「素材をつないでるだけで演出がまるでなく、なぜあそこまでドラマ性に富んだコンテンツでここまで無毒化できるのか驚く」です。

 僕は元々野球は好きな方で、小学生の頃にパワプロをかなりやり込んでいたことからルールについては一応頭に入っています。ペナントレースはそこまで追ってはいませんでしたが、オリンピックや過去のWBCはやっていれば観るといった感じ。多くの方がそうかとは思いますが、社会人になって以降何かスポーツを熱心に追うということもなくなり、ここ数年の野球界についてはせいぜいダルビッシュと大谷の名前が分かるぐらいでした。

 普段はテレビを観ないものの、今回は仕事終わりに偶然テレビをつけると第1試合の中国戦がやっていてそのまま視聴。続く韓国戦も気になって観てしまったことからどっぷりとWBCに浸かってしまい、しまいには決勝のアメリカ戦は会社を休んで視聴するほどになってしまいました。

 ここ数年コロナで鬱屈した気分が続いていましたが、久々に日本がプレイヤーも我々オーディエンスも一丸となって優勝を目指し、最後には劇的な勝利を飾る姿には思わずスカッとしてしまいました。

 大会も終わったのにそれ以降しばらくはWBCの情報を調べ続け、思った以上にWBC2023はドラマ性に富んだ大会であったことを知りました。特に大谷選手は高校時代からWBCでのMVP獲得を目標に掲げており、今回の大会では彼が唯一本気で優勝を狙い、裏でも色々と動き回っていたのです。他にも語りたいWBCのエピソードは数多くあるのですが… それは後述します。YouTubeにもWBC関連の動画は数多く上がっていますが、僕が好きなのは『【歴代最強】WBC優勝までの軌跡を解説!』。25分の尺でありながら内容もギッチリ詰まっており、それでいてテンポもよく、観ているこちらも非常に勇気づけられるコンテンツとなっていました。

 そういった背景もあり、本作はものすごく楽しみにして鑑賞に臨んだのですが、浮かんだ感想は冒頭の通り。なぜここまで盛り上がらない映画に仕上がったのか。

 

選考理由が説明されない選考会議

 まず映画冒頭、栗山監督を始めとするWBCのコーチ陣が選手の選考をする会議から始まるのですが、それがどれも「う~ん、コイツを代表として呼びたいなぁ」と言って、本当に選手が招集に応じちゃうので全くドラマ性がないんですよ。ひと悶着あったのはせいぜい吉田正尚ぐらいで、吉田はこれからメジャーに移籍するところなので「そりゃ難色を示すのも当然でしょ」といった具合。

 せっかくこうやって選考会の会議にカメラを入れているので、そこは栗山さんから「なぜこの人を呼んだのか」の説明がほしいし、呼んだところでそのまま選手がスッと応じてくれるわけじゃないですか。それを写さないと。もっというとせめて今の野球でなぜ巨人・坂本と楽天・田中が選ばれなかったかは聞きたかった。更に突っ込んだ話をすると代表選考会より以前に、そもそも栗山さんが監督に選ばれたのも大谷を招集するためなはずなので、そこに言及されていないのはさすがに不自然さを覚えました。

 

ヌートバー、お前誰やねん の不在

 代表の選考も終わり、そこから場面はキャンプに移ります。そこでまたしても気になるのはヌートバーの扱い。そもそもヌートバーが代表に選ばれた理由もほとんど語られることがない。本編を見てるとチームメイトも「誰やねんお前」という状況になってるんですよね。チームメイトもそうですが日本国民全体もあのときは「ヌートバー、お前誰やねん」状態だったじゃないですか。Twitterでもヌートバーがトレンド入りするも、みんな「えっ、ヌードバー? 違う、ヌートバーか。新発売されたアイスか何か?」みたいな感じになっていたのをよく覚えています。そんなお前誰やねん状態から第1試合中国戦での活躍から一気にフィーバーが巻き起こり、日本国民全体から受け入れられる様子はリアルタイムでWBCを追っていた身としてすごく感動的だったのですが本編ではその変化が全く描写されてないんです。

 

伝わらない試合の緊迫感

 宿敵・韓国戦も韓国に先制点を入れられて、当時はTwitterでも「あー韓国に3点も入れられてしまった!」と割と悲観的なムードになっていたのですが、本編を見るとそういう"空気感"が全く伝わってこない。気づいたら逆転していてよくわからないうちに試合が終わってます。この映画、他の試合シーンもそうなのですが、アウトカウントを始めとする試合の状況が全く分からないんですよ。今負けてるのか勝っているのか。それが全然把握できない。編集マン、野球のルールをよく分かってないんじゃないですかね?

 チェコ戦も当時は誰もが油断していたところに先制点を取られ、ヌートバー・近藤・大谷も三者凡退に取られるという驚きの展開。なのにその番狂わせ感はやはり伝わってこない。結局その後は日本が圧勝するわけですが、プロの選手がひとりもおらず、本当の野球好きたちで楽しそうにのびのびとプレイするチェコのメンバーに我々日本人はかなり好感を抱くようになりましたが、あの空気感は伝えてほしかったなぁ。

 

村上の不振と復活

 直前のシーズンでは史上最年少三冠王を獲得した村上宗隆がWBCでは全く打てず炎上状態。村上の打席には毎回得点圏のランナーがいるにも関わらずチャンスを活かしきれないなど、Twitterで「#そろそろ打てや村上」がトレンド入りするぐらいには非難が殺到していました。だからこそ絶望的な空気が漂っていたメキシコ戦でサヨナラ打を放ったときは日本中が歓喜したのですが、やはり本編を観るとその不振ぶりは伝わってきませんでした。一応村上の不振は本編でも軽く触れられているのですが、終始ヘラヘラしているようにしか見えないんですよね。そこは編集で「カメラの前ではヘラヘラしているけど、実は思い悩んでいる」という風にしてあげなよ…

 村上がメキシコ戦でのサヨナラ打を放ったときも編集としては無音にすることでドラマ性を高めようとしているのですが… "無音"って今どき素人YouTuberでもやらない技法だろ…… いやもうほんとに素材を繋いでいるだけなので映像系の専門学校の生徒が入学後最初の夏休みの課題として作ったレベルですよ。あれだけ感動的だった村上のサヨナラをどうやったらここまで平坦にできるのか。

 

大谷VSトラウト

 WBC2023の主人公といえば大谷でしょう。高校時代からWBCでのMVP獲得を目標に掲げ、今大会でもひとり優勝を目指しダルビッシュやヌートバーに自ら声をかけに行く。そして試合が始まると日本は大谷の活躍もあり決勝まで駒を進め、決勝の9回では日本が1点リードのまま、ピッチャーとしてマウンドに上がります。

 ―そこに対峙するのは同じくエンゼルスのチームメイトであり、アメリカ代表のキャプテンを務めるマイク・トラウト!!

 いやもうこれ漫画の世界でしょ。大谷も160km/hを超える速球でトラウトに挑み、フルカウントで迎えた最後の一球は40cm以上変化するスライダーで見事三振に仕留める。優勝が決まる日本。

 

 …が、これもやはりマルチアングルで素材を繋いでいるだけなので、そんな盛り上がらないんですよねぇ。

 大会終了後にFOX Sports: MLBから上げられた動画なんか本当に感動的で僕はもう何十回と観てるのですが、どうしてプロが何十人と集って作って劇場公開までしたものがここまで盛り上がらないか。

 

 結局この映画の悪いところは監督が何を見せたいのかという意図が全く存在しないところなんですよね。この映画を観ても今まで知らなかったWBCの裏側が映し出されることはないし、この映画でしか味わえない感情の揺さぶりもない。この映画じゃなきゃいけない理由がないんです。公開時期を考えるともう素材の選定だけでいっぱいいっぱいだったんじゃないかなぁ。

 ここまで散々批判はしているものの、とはいえ素材自体は非常に優れているので面白いは面白いんですよ。でもどうせ劇場用映画として観るならテロップもナレーションもBGMもガンガンに入れて、ほんとに「映画」という感じにしてほしかったですね。

 

\AmazonPrime無料体験でも本作の視聴が可能です/



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