※当サイトではアフィリエイト広告を利用しています

映画

この企画で169分は長すぎだろ『ジョン・ウィック:コンセクエンス』

 先日名古屋の大高にあるイオンシネマのIMAXで『ジョン・ウィック:コンセクエンス』を観てまいりました。

 まずハコの話になるのですが、IMAX、スクリーンがそんなに大きいわけでもなくないですか? 僕のIMAX経験は今回を除けば名古屋駅にある109シネマズに『アベンジャーズ(無印)』を観たときに行ったっきりなのですが、当時もそこまで「いやーIMAXだとスクリーンが大きんだな!」とも思いませんでした。なんというか一昔前の単館系の数百人入るキャパな映画館もこれぐらいのスクリーンの大きさだった気がするんですけどねぇ

 さてこの『ジョン・ウィック』シリーズ最新作である『コンセクエンス』ですが、まず思ったのが「上映時間169分はさすがに長ぇ」です。ちなみに点数で言えば60点ぐらいかなぁ。制作者としては劇中ジョン・ウィックが戦いの連続でヘトヘトになるのと同様、観客にもその感覚を共有してほしいとのことでこの尺の長さでやっているようですが、本作のような企画なら尺はせいぜい90~100分でしょう。というより100分未満の尺でやってくれたなら90点だったと思います。

 事前に「ずっとアクションをやってる」と聞いて期待していたのですが、思っていたよりかはやってないですね。169分中、70分ぐらいですかね。それでも普通のアクション映画の数倍はやっているのですが。

 ストーリーはあってないようなもので、キアヌ・リーブスが演じるジョン・ウィックを殺さんと世界中の刺客たちが次々とウィックに襲いかかり、それをウィックは返り討ちにしていくというもの。ストーリーとしてはシリーズを通してのつながりがあるものの、僕は過去の設定をすっかり忘れていましたが本編自体は十分楽しめました。過去作を観ていても観ていなくても楽しめますね。まだシリーズを未見の人はいきなり本作を観ると「???」な箇所が多く出てくるかと思いますが、多分過去作を観たところで面白さは変わりません。

 本作『コンセクエンス』はもうアクションの見本市になっていて、シリーズの評判によって世界中の一流スタントマンたちが集まり、そして制作費も潤沢に用意されているため「思いつく限りのアクションはすべてやってやろう!」と、まさにアクション闇鍋状態です。過去作の積み重ねからリアリティなんてあってないようなものなので、普通なら思いついても「リアリティないからダメだよなぁ」とお蔵入りさせるアイデアもふんだんに盛り込まれています。リアリティという意味では各方面から突っ込まれている「防弾スーツ」。本作に出てくる敵味方は「防弾スーツ」と呼ばれる背広を着ているのですが、これがなんと銃の貫通を防ぐという。いや、これがほんと普通の背広にしか見えないんですよ。防弾仕様でちょっと厚めにしているのかな? と思いきや、普通にピロッピロ。でもそれを仕組みなど大した説明をせずに当たり前のように登場させているあたり思い切りが良いなと感心しました。

 そして世界中から優秀なスタントマンを集めて大アクションを展開しているのですが、さすがにここまでスタントマンのレベルが高いとジョン・ウィックことキアヌ・リーブスが世界最強の殺し屋には見えないんですよねぇ。だってキアヌ、動きがモッサイんですもん。特に本作は複数の敵が一気にウィックに襲い掛かるシーンがかなりの頻度で登場しますが、「ウィックの攻撃待ち」カットがかなりありました。

 改めて言っておきますが、僕の本作の評価は60点。やや面白い。シリーズが好きな人なら観ておいたほうが良いという温度感なのですが、特にジョン・ウィックのような単純なストーリーとなると感想を書くときにどうしても欠点のほうが挙げやすくなってしまうんですよね。

 本作では一つの場所で長々とアクションをやるので、飽きが結構きやすい。照明が独特で、これが良いという人もかなりいるものの、僕は「毎回ビカビカ変わった光を発光するところでアクションやってんな」と思ってしまい、ちょっと辛かったです。銃撃戦もハリウッド映画としては過去最高の火薬量であるものの、僕はそこまで感心しなかったんですよね。というのも最近ジョン・ウーの作品を見直していて、それと比較すると「単に火薬量が多くても"ケレン味"というのは出せるものではないんだな」と思ってしまったんですよね。ウー以上の火薬量の映画を観ると、ウー作品がいかに考えられてカットを構成し、そして編集されていたかが分かります。でも終盤のゲーム的な銃撃戦をワンカットで俯瞰ショットで撮った一連のシークエンスはさすがに「おっ!!」と思いましたね。

 そして今回の敵役、ドニー・イェン。わざわざ香港から呼んでおいて盲人って設定はちょっともったいなかったんじゃないかなぁ。普通に目が見える設定にしてもっと蹴り技をバシバシやってほしかったですよ。まぁそれでも盲人演技自体は素晴らしかったですけどね。でもどうせドニーを呼ぶなら… と思ってしまいます。そしてスコット・アドキンスも敵として出てくるものの巨大ボディスーツを着用しての登場ですが… これも別にいつものスリムな体型で出てぴょんぴょん飛び跳ねながらアクションしてもらえばよくないですか!? なんでわざわざ巨大ボディスーツ着用で動けないキャラにするのかがよく分かりませんでした。巨体ならではのアクションが出るわけでもないですし。

 さて、ここまで欠点を挙げておきながらも本作のとても良かった点について言及します。それはラストバトル。ラストバトルは普通の生身のファイトでもガンファイトでもなく、ジョン・ウィックの世界独自のルールで行われる早打ち対決になります。正直この対決、ルールはあまり良くわからないのですが、これがあっと驚く方法の戦い方を見せてくれるんですね。「ルールは良くわからんが、その手があったか!」とスカッとする仕様。このラストのアイデアがかなりよくて、僕は最後本当にスカッとしましたね。

 -----

 そんなわけで本作『ジョン・ウィック:コンセクエンス』ですが、シリーズが好きな人ならぜひ劇場で観たほうが良いかと思います。なんといっても上映時間が169分もあるので、さすがに家でじっとこの映画を観れるかというとかなり厳しいと思いますので、映画館で強制的に最後まで観てしまいましょう(笑)



-映画

© 2024 名古屋とエンジニアリング