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映画

【レビュー】映画『F1』感想|ブラッド・ピット主演の没入レース

 映画館で『F1』を観ました。

上映時間

 155分

 

オススメ度

 星5点満点中:★★★

 

ストーリー

 かつて世界にその名をとどろかせた伝説的なカリスマF1(R)ドライバーのソニーは、最下位に沈むF1(R)チーム「エイペックス」の代表であり、かつてのチームメイトでもあるルーベンの誘いを受け、現役復帰を果たす。常識破りなソニーの振る舞いに、チームメイトである新人ドライバーのジョシュアやチームメンバーは困惑し、たびたび衝突を繰り返すが、次第にソニーの圧倒的な才能と実力に導かれていく。ソニーはチームとともに過酷な試練を乗り越え、並み居る強敵を相手に命懸けで頂点を目指していく。<映画.com>

 

感想

 元々あまり観る気はなかったものの、各所で評判があまりにも良いので観ることにしました。

 公開から1ヶ月以上経過しており、僕の最寄りの映画館では元々打ち切りが決まっていたのに、客入りが良かったのか急遽一週間延長が決定。僕は今回レイトショーで観に行きましたが、夕方にチケットを取ったときは予約が10人も入っていなかったのが、いざ劇場に入ってみると6割ほど埋まっていたので、一瞬入るスクリーンを間違えたかと思いました。

 ブラッド・ピット最大のヒット作ということでアメリカ本国では2億ドル以上稼いでいますが… 最大のヒット作でも2億ドルって、意外とブラピ、マネーメイキングしてないんですよね。今までの最大のヒット作が『ワールド・ウォーZ』2億200万ドルと、ギリギリ2億ドル超え。彼の知名度からすると3億ドル超えが何本かあってほしいところですが、この『F1』でも最終リザルトは2億ドル中盤ぐらいに収まりそうです。

 本作『F1』ですが、ランタイムが155分もあり、それがネックとなっていました。予告込みだと3時間近く拘束されることになるので、お尻が痛いやらトイレが我慢できなくなるやらで僕も年齢を感じるようになりました。いやほんと、『ロード・オブ・ザ・リング』が若い頃に上映されていて助かりました。映画はエンドロール込みで120分以内にしてほしいものです。

 そんな長いランタイムに懸念を感じながらも、いざ観てみると体感90分ぐらいに感じました。凄まじいテンポ感で気づけば映画が終わっており退屈することはありませんでした。ただ、退屈はしないものの、なかなか評価の難しい作品ではあります。

 先に本作の欠点を挙げておきますが、それはブラッド・ピット演じるソニー・ヘイズのキャラ造形です。ずっと憎まれ口を叩いて、同じチームメイトである若手レーサーのジョシュアをバカにするのですが、その憎まれ口キャラがストーリーにいい具合に作用せず、ただイライラさせられるのです。

 映画が開始した直後のストーリー展開としては以下の内容を想像していました。

 熟練した技術や幅広い知識のあるソニーは自身がドライバーとして勝つことにこだわるものの、体の衰えから思うような走りができない。自身の勝ちにこだわるあまり、同じチームメイトであり若手レーサーであるジョシュアとことあるごとに反目し、チームは崩壊寸前となる。チーム存亡を懸けたレースにて、ソニーはしぶしぶジョシュアに協力して走ると、二人は思わぬ好成績を残す。
 この一件からソニーは自身の技術や知識を惜しみなくジョシュアに注ぎ込み、また直感だけでドライビングを行っていたジョシュアもソニーの教えによって冷静な走りができるようになり、タイムはめきめきと向上していく。共に父親を若い頃に亡くした二人は、いつしか親子のような強い絆が生まれるが―

 一応本作はベテランのソニーと若手ホープのジョシュアのバディ・ムービーであるはずなのですが、二人の性格が映画の盛り上がりに寄与していないんですよねぇ。さすがにブラピぐらいの年齢となるとバディとして若手を出している以上は本人がプレイヤーをやるべきではなかったかなと思います。やはりメンターとして「かつては自身の勝ちにこだわっていたが、自分の弟子の成長に貢献することで、擬似的に勝利を得る」という図式になってくれた方がスッキリします。

 最初に相反する関係であっても、ふとしたキッカケからお互いを補い合う関係になるのがバディ・ムービーのいいところ。ところが本作は終盤までずっといがみ合っているのに、最後のレースで急に仲良くなっているので「なんじゃそりゃ~」となってしまいます。多分仲が深まるエピソードは撮影していたんでしょうけど、カットしたのかなと。

 ここまでが本作『F1』の悪いところ。ストーリー的には納得できない部分はありましたが映像は近年の映画では稀に見るほどのド迫力。主観画面を多用しているレースシーンはまるで自分が運転しているような気分になり、ハンス・ジマーの燃えるBGMと相まって手に汗握りました。令和最新版の『デイズ・オブ・サンダー』ですし、ジェリー・ブラッカイマーのプロデュース版『グランツーリスモ』とも言えますし、もっと簡単に言えばF1版『トップガン マーヴェリック』です。

 僕はこの主観画面、好きなんですよね。本作『F1』でも、もっと主観画面を多用してレースに没入させてほしかったです。なぜカーチェイス映画はもっと主観画面を増やさないんですかね。運転している俳優の顔を望遠レンズで手ブレさせながらアップで撮りがちですが、アップで映されてもなんの感情も湧きません。

 ちょっとした愚痴を挟みつつも『トロン・レガシー』『オブリビオン』『トップガン マーヴェリック』を監督したジョセフ・コシンスキーだけあって映画全編がF1自体のPVみたいになっていました。単なる会話シーンもちょっとノイズになるぐらいカットを割っていたりするし、そもそもストーリー展開がビュンビュンと進行するので退屈する余地が全くありません。

 ハンス・ジマーも久々に燃え上がるようなスコアを書いてきました。まぁメインメロディが『ラッシュ/プライドと友情』と似てるし、昨今のYouTubeで流行っているシンセウェイヴ(Synthwave)の要素を取り込んでいるので、恐らくいつも通りメインメロディだけ作っておいてあとは弟子に丸投げしたのでしょうけども、とにかくいい音楽になっているわけです。

 音楽もそうですし効果音も重低音をドンドコ響かせながら映画が進行していくので初めて「これ、IMAXで観たかったな」と思いました。

 

 映画の点数で言えば70点と、欠点はありつつも大きな不満は出ないし、観といてよかったなと思える作品でした。

 公開からしばらく時間が経っているものの、IMAXでの再上映が決まっていることもあり、可能であればIMAXでの鑑賞をオススメします!



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