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ハリウッドでスクールカーストの存在を初めて正面から描いた『ブレックファスト・クラブ』

 AmazonPrimeで『ブレックファスト・クラブ』を観ました。

※今回の作品はAmazonプライム会員であれば無料で視聴可能です。→AmazonPrimeビデオ

上映時間

 97分

 

オススメ度

星5点満点中:★★

 

ストーリー

 接点のない異なるタイプの高校生、すなわち「スポーツマン(エミリオ・エステベス)」「秀才(アンソニー・マイケル・ホール)」「不良(ジャド・ネルソン)」の3人の男子生徒と「お嬢さま(モリー・リングウォルド)」「不思議ちゃん(アリー・シーディ)」の2人の女子生徒は懲罰登校を命じられ、休日に図書室で「自分とは何か」をテーマにした作文をヴァーノン先生(ポール・グリーソン)から課される。
 それまで付き合いのなかった5人は次第に自分の心をさらけ出し、家族や学校への鬱屈した気持ちを語ったり、ともにマリファナを吸ったりして、心を通い合わせていく。<Yahoo!映画>

 

感想

 ハリウッドで初めてスクールカーストを正面から描いた映画として度々言及される本作。
 『ブレックファスト・クラブ』で完成された「普段は決して交わることのなかった異なる階層の人間が一つの場所に集められ、そして問題に取り組んでいくうちに心を通い合わせていく」というフォーマットはその後のハリウッド映画で何度も何度も引用されています。

 少し前の日本映画であれば『桐島、部活やめるってよ』がスクールカーストによるグループの断絶を描いていましたし、最近の映画で言えば『ジュマンジ/ウェルカム・トゥ・ザ・ジャングル』が主人公たちのキャラ造形がそのまま引用されていました。

 さてこのハリウッド映画史に残る本作。本作を観た後の率直な感想はと言うと・・・
 完成度は決して高くないといいますか、色々いびつといいますか、荒削りなところが多い映画だなと思いました。

 「普段は決して交わることのなかった異なる階層の人間が一つの場所に集められ、そして問題に取り組んでいくうちに心を通い合わせていく」というプロットだけ聞くと面白そうに思えますが、映画としてそれがうまく表現できているかと言うとそうではありません。

 この映画は登場人物も生徒の5人と補習を命じる教師、そして用務員のおじさんと全員合わせて7人しか出てきませんし、舞台も補習をやっている図書館からほとんど出ません(多少学校の中を歩き回ったりするぐらい)。物語の進行もほとんどキャスト同士のセリフだけで、外的要因によって話が進んでいかないのです。

 じゃあどうやってこの映画は話を進めていくかと言うと、登場人物の一人である"不良"が終始他のメンバーに対して挑発的な発言や態度を取って、それに対する応酬として話を広げるのです。
 不良が「よう、お前のとこの両親はどうなんだ? お前は両親が嫌いか?」とかいきなり聞いたりするのですが、そこにちょっと無理があるというか。もしこの映画に不良がいなかったら話が全く進まないのです。
 他にもレスリング部のエースであるスポーツマンのアンドリューが「自分は周りからは順風満帆に見えるが実は親からの期待に押しつぶされそうである」という心情を吐露するシーンがあります。ですがそれも割と唐突に自分から語り出すのでストーリーとしてあまりうまくいっていません。

 なんというかこの映画、企画書に箇条書きで書いてある事柄を無理やり映画にしている感じがするのです。
 おそらく企画書としては

 ・カーストの違う生徒が集められる
 ・不良は家庭環境に問題があり、それゆえ不良になった
 ・スポーツマンは親からの期待に押しつぶされそう
 ・お嬢様は実は周りからの期待の役柄を演じているだけ

 という内容が書かれていて、それを脚本にする際に

 「あー、クソッ、学校の図書館が舞台で、どうやったらスポーツマンが親からの期待に押しつぶされそうになってることを表現したらいいんだ! ・・・もういい、自分から語りだしてやれ!!」

 となった感じがどうしてもしてしまうのです。そこのツギハギ感がどうしても映画として違和感となり、僕は最後まで映画に入り込むことができませんでした。

 せっかく映画として「自分とは何か」という作文を書くことを命じられているので、それを映画的なアイテムとして活用すればよかったのに、まったくしない。
 「『自分とは何か』という作文を書くことを命じられたため、自分はどういう人間かを今一度理解するために補習を受けているメンバーそれぞれがお互いの生い立ちについて質問し合っていく。お互い質問し合っていく中で階層は違えど実は同じような悩みをそれぞれが抱えていることを知る」というような流れにすれば違和感なくストーリーを進行できると思うのですが、本作は作文など最初に出てきたきりその後ほとんど取り組むことなく最後の最後まで放置されてしまいます。
 じゃあなんで作文なんか出てきたの? と言うとそれはあくまで「階層の違う5人がひとところに集められる」という舞台設定のための設定になってしまっていて、有効に機能していないところが残念でなりません。

 また舞台が基本的に図書館のみで繰り広げられるというところに対して緊張感を持続させる工夫が少し足りないところも気になりました。といっても30年以上前の映画なので、この指摘をするのは多少残酷な気もしますが。
 本作は基本的に会話だけで話が進行するので、やはり映画も半分近くなったところでどうしても飽きが来てしまいます。外部からの話をかき混ぜるモノも登場しないので、後半になるにつれてセリフの間を詰めたり、もっと細かくカットを割ったり、カメラを動かして飽きさせない工夫があればよかったのですが、それもなく。ただ80年代という時代を考えるとこれでも十分カットも細かく間も詰めてるのかなぁと思ったり。
 一応観客を飽きさせない工夫として途中で80年代の最新のヒットチャートと思われる音楽をかけてダンスシーンを挟み込んだりするのですが、唐突にかかる割には急速に音がフェードアウトするので「音楽の使い方下手か!」と突っ込んでしまいました。

 確かに色々と突っ込みどころは多い映画ですが、やはりその後のハリウッドのみならず全世界の青春映画に多大な影響を与えた作品として一見の価値はありました。

 

※今回紹介した作品はAmazonPrime会員の無料体験でも視聴可能です。

 

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