佐久間宣行さんの新刊『その悩み、佐久間さんに聞いてみよう』を読みました。
この本は、ビジネスパーソンたちから寄せられたされたさまざまな悩みに対し、佐久間さんが真摯かつ論理的に答えていく形式のビジネス書です。
僕は普段から佐久間さんのラジオをよく聴いており、ビジネスマンとしての等身大の視点から語られる内容に共感することが多くあります。前作『佐久間宣行のずるい仕事術』も非常に良かったため、今回の新刊も迷わず手に取りました。
またちょうど、僕自身がフリーランスのエンジニアとして仕事を始めたばかりということもあり、現場で求められる成果のハードルの高さに精神的な疲れを感じていました。そんな折、「悩み相談に答える」という構成の本書に自然と惹かれたのです。
現場での悩みに「甘さ」は通用しないと気づかされた
本書の中で特に印象に残ったのは、職場の人間関係や自分の立場にまつわる悩みに対する佐久間さんの回答です。
たとえば「不満を言っても突き放してくる上司」に対しては、「改善しないとマイナスがある」という明確なロジックをもって伝えなければならない、といったアドバイスがありました。
ただの愚痴では相手を動かせないし、むしろ「時間を奪うクレーマー」と認識されてしまう危険性すらある。僕自身にも身に覚えがあり、非常に反省させられた箇所です。
会社は仕事をしに行く場所
「会社で嫌なことがあると耐えられない」という相談に対しては、「会社は仕事をしに行く場所」と冷静に割り切るスタンスが提案されていました。
フリーランスという立場上、「できて当たり前」という無言の圧力を感じる日々の中で、その一言に「考え方を変えなければ」と思わされました。
さらに、「働かない同僚に困っている」という相談に対しては、証拠を揃えて論理的に報告するという基本姿勢が強調されており、ここでも感情ではなく事実とロジックの重要性が語られていました。
「困った」と言うだけでは何も変わらない
なかでも、特に心に響いた一節があります。
「困った、困った」と言っても解決には向かわないし、
自分を評価する立場の人に「困りごとに困る自分」への共感を求めても弱みを見せるだけだから意味がない。
まさに今の自分が「困った」と言うばかりの人間になっていたことに気づかされました。
問題を訴えるなら、感情ではなく、冷静な事実と改善の筋道をもって伝えなければならない。そうしなければ、何も変わらない——。本書はそんな当たり前だけれど痛烈な現実を突きつけてくれます。
★★★★★
行動のヒントと、心の整理が同時にできる一冊
本書は、悩みや不満に対して「共感」や「同情」を与える本ではありません。
むしろ「冷静な視点」と「現実的な行動プラン」を提示することで、読者自身に「じゃあ、自分はどう動くべきか?」という問いを投げかけてきます。
だからこそ、職場環境に困っている人や、人間関係に悩んでいるビジネスパーソンにこそ読んでほしい一冊です。
読むことで、「自分の感情」に振り回されずに、「次に何をすべきか」が見えてきます。
結果として、心が少し軽くなり、前に進む勇気が湧いてくる。そんな力を持った本でした。