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テレビ

現在進行系、熱血スポ根漫画としての『Win Win Wiiin』

 お笑い芸人の宮迫さんと中田さんによるYouTube新番組『Win Win Wiiin』を観ました。

 

 数ヶ月前から宮迫さん・中田さん両名のYouTubeチャンネルで断片的に製作の状況が伝えられていた本番組。

 企画が進行していく様子をリアルタイムで追っていた自分としては、ここ数年で「公開が待ち遠しい!」と思えた稀有なコンテンツでした。

 この番組を待ち望んでいた人の多くは『Win Win Wiiin』に「YouTubeはテレビと同等、もしくはそれを超えることが出来るのか?」という答えを期待して観ていたと思います。

 

 中身については本編を観ていただくのが一番かと思いますが、僕が観た感想としては「テレビはメディアではなく、プラットフォームになった」と感じました。

 オープニングの映像は宮迫さんのかつての出世番組『ワンナイ』を彷彿とさせるスタイリッシュな仕上がりとなっていて、本編についても知らない人が見たらテレビで放送されたものがYouTubeにもアップされているのかと思ったことでしょう。

 少なくとも「個人だから」という理由でのクオリティの制約はほとんど感じることがありませんでした。

 

 自分たちでスポンサーを見つけ、スタッフを集め、観覧を入れ、撮影を行う。

 そこで完成した映像はテレビと同等のクオリティで、あとはその映像をテレビで流すかYouTubeで流すかだけの違い。テレビはメディアではなく、ひとつのプラットフォームになったんだと痛感させられた日になりました。

 

 今回僕は『Win Win Wiiin』の何に一番惹かれたかと言うと「YouTube番組を作るまでの過程が熱血スポ根漫画と同じ」ということです。

 例えて言うなら

 「サッカーの強豪校で2年生のエースを務めていた宮迫は試合での不正行為の責任を一身に背負わされ、退部を余儀なくされる。そんな宮迫を、鳴り物入りで入部しながら部全体の方針に反発し半ば退部状態だった1年生ルーキーの中田が救いの手を差し伸べる。かつてはお互いを名指しで非難し合いながらも双方の実力は認めていた二人が新たな部を設立し、そこから全国制覇を目指す!」

 というストーリーなんですよ。今までスポ根漫画で幾度となく目にしたストーリーが今まさにリアルタイムで繰り広げられている。そこに猛烈にワクワクしていました。

 

 僕は現在アラサーで、『ワンナイ』は直撃世代だったことから当初宮迫さんのことは好きでした。しかしMCをやり始めてからはどうしても周りが気遣うこともあり大御所感が出てしまい、つい最近まではかつてほど好きではありませんでした。

 同じく中田さんも『エンタの神様』初登場から見ていた立場としては、そのキャリアをずっと追っていた芸人さんであり思い入れも深いのですが、近年のマルチな活躍から「芸人ではないよな」と感じていました。

 

 しかしその宮迫さんも闇営業騒動でYouTubeを始めるようになってからというもの、ネタをやったり体を張ったりと芸人らしさを取り戻す。中田さんも以前から口にしていた「既存の概念に反抗するのが芸人だ」を実行に移し、かつてお互いを批判していた宮迫さんに連絡を取る。

 「宮迫という才能を忖度という文化で埋もれさすのは日本の芸能界にとって損失である」という言葉から自身の立場をも危うくさせかねない「テレビと同等のクオリティの番組をYouTubeで製作し、それを配信する」ということをするわけです。

 その姿がまさに "芸人" なんですよね。

 

 我々も大人になればちょっとしたことでつまらない意地を張って、素直になれない事ってたくさんあるじゃないですか。

 ほんのちょっと頭を下げるとか、ほんの少しのテキストを送るだけでお互いの利益になるのに、ささいなプライドが邪魔をしてなかなか実行に移せない。

 でもそれを「とにかく面白いことやろうぜ!!」と自分の信念に基づいて素直に行動できるところがすごいなぁと思いました。

 

 かつて僕が子供だった頃、「芸人さんはこんなにも人を笑わせてすごいなぁ」と憧れていました。

 しかし今回の『Win Win Wiiin』は番組が配信されるまでの過程で「こんな人間になりたいな」と思わせてくれる、素敵なコンテンツでした。

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