考え方

まず、何をやればいいか示してあげよう

 これから加速度的に労働人口が減る日本にあって、それぞれがスキルアップの勉強をするのと同時に、「どのスキルを身につけるのに、何をどのくらいやったか」と発信することもより重要になるんじゃないかと思っています。

 

 僕は本職として家電製品のプログラミングを行う組み込み系エンジニアをやっているのですが、特にこの業界は将来の人手不足が盛んに叫ばれます。

 日本のような資源のない国では原資を必要としないIT業が外貨の重要な稼ぎ柱。モノが売れる売れないの前にエンジニアの数が減ってしまえば輸出できる製品の絶対数も減少してしまい、ひいては外貨不足から日本全体が不況に陥ってしまうわけです。

 ただでさえ昨今の不景気と少子高齢化で社会保障制度もほころびをみせつつある中、エンジニアの数が少なくなるのは将来の自分の首が締まるも同然で、僕も一介のエンジニアとしてなんとかこの状況を変えれないかと思っているわけです。
 ただ、その端で「深刻なエンジニア不足!」「エンジニアの数を増やさないと将来大変なことになるぞ!」とだけ叫んでるだけの人を見ると「違うようなぁ」と思うわけです。

 そもそも「エンジニアの深刻な人手不足だ!」の声だけで「よーし、それなら俺もエンジニアになるか!」と思ってくれる人は、多分何も言ってなくてもエンジニアになっているはずですし、本気でエンジニアの数を増やしたいのであれば「どうすればエンジニアになれるか」「エンジニアになるためにはどれだけの時間がかかるのか」を具体的に教えてあげないことには誰も動けません。

 

 なぜ僕がこういうことを改めてブログに書いているかと言うと、最近YouTubeで社会的に成功したビジネスマンによる自己啓発セミナー動画を何本か観てたんです。
 やっぱり優秀なビジネスマンですから話もうまくて、「自分は昔はダメ社員だったけれども心の持ちようひとつで一気に社内実績No.1になれた。だからみなさんもやれば出来るようになるんです!!」なんて言って、さも自分もできるサラリーマンになれるかのような気持ちにさせてくれるのですが、結局その講演を聞いたところで実際に行動には移さないし、移せないだろうなと感じたのです。

 確かに講演を聞いた直後はモチベーションも上がって「俺はやるぞ!」と思うのですが、そういった一瞬で上がったモチベーションって一瞬で下がるんですよね。

 僕も学生時代はやまほど勉強のHow to本を読んだし、新卒の頃は同じくやまほど自己啓発書やビジネス本を読みました。どれも「自分はテストで学年ビリを取った。でも勉強のやり方を変えてわずか1年で東大に入った」「会社のお荷物社員だった自分が独自に編み出したPDCAノートのおかげで仕事ができるようになった」というサクセスストーリーを提供してくれて、多幸感を味あわせてくれるんですよ。

 そうやって脳内でドーパミンを大量に生産したあと、本閉じてスキルアップの勉強を始めてみてもExcelでクソみたいなグラフ1個作るのに2~3時間はかかるし、会社に行ってみれば相変わらず朝と夕方で言ってることが真逆になる上司に振り回され、言うことを聞かない部下の尻拭いに奔走するはめになり、目の前の生活でいっぱいいっぱいになるわけです。

 

 モチベーションに頼った勉強って基本的に続かないんですよ。
 特に「俺にも出来るかも!」と思わされてブチ上げられたモチベーションを原動力にやる勉強って本当に続かない。

 というのも、何に取り組むかにもよりますが周りから褒められるような実績というのはそう簡単に挙げられるものでは無く「ブチ上げられたモチベーション」と「長期的な努力」って絶望的に相性が悪いのです。セルフイメージでは簡単に結果が出るモードになってしまっているのに、目の前には特にこれと言った実績も出ない。そうなると認識に不協和音が発生してしまうので「もうやーめた」となって、努力すること自体を完全に放棄してしまう。

 でもこれが冷静に「このスキルを手に入れるためには、このステップを踏んで、これだけの時間がかかりますよ」と初めから提示されていたら多分努力を完全に放棄するっていうことはなくなると思うんですよね。
 結果が出ないとしても自分の努力量や試行量を見つめ直してみて「まだこれだけしかやってないなら、そりゃ結果は出ないよな」と思えるし、もし仮に基準値より数倍努力してみても結果が出ないなら「よし、これは俺に全く向いてなかったんだ!」と方向転換することが出来ます。

 「やれば出来る!」という曖昧な言葉で人を鼓舞するからこそ、やって出来なかったときに人は簡単に諦めてしまうし、そもそも「やれば出来る」の「やる」レベルまで人は努力してなかったりします。

 

 僕もこのブログを通じて常に自分が行っているスキルアップのための勉強を「どんな参考書を使って」「どれだけの時間をかけたか」について報告をしています。そうすることで僕のブログを見た人が「あぁ、東城でもこれぐらいで習得できたんだから俺もやってみようかな」「うーん、これだけ時間がかかるなら割に合わなさそうだなぁ。違うことに時間を使うか!」と思ってもらえたらいいなと思っているからです。

 結果が出るか出ないか分からない中で努力することほど不安になることはありません。

 そうやって色んな人が「どんなことにどれだけ時間がかかるのか」という集合知が集まっていけば、結果が見通せるからみんな努力する気にもなるし、回り回って日本の経済も良くなるんじゃないかなと考えています。

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