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考え方

自分より頭悪そうなやつが稼いでるのを見ると腹が立つ

 自己啓発書やビジネス書を数多く読み、セミナーなどにも参加する割に、目の前の業務や勉強にはサッパリ手を付けることができない。ニュースなどを見て政治や社会問題についてあれこれ思いを巡らし、意識が高くそこまで頭が悪いはずではないのに、なぜか成果が出ない。

 恐らくそういった人は多いと思います。

 これはまさにほんの数年前の僕自身のことを指しているのですが、その原因となるものが最近判明したので、それについて今回書いていきたいと思います。

 

 先日カフェでブログを書いていると、隣の席に座った若いサラリーマン二人組が「自分より頭が悪そうなやつが稼いでいるのを見ると腹が立つ」というフレーズを口にしていて、思わず感動してしまいました。これは僕が学生時代から20代中盤までぼんやりと頭の中で思い浮かべていたことで、今回ふとしたタイミングでこれ以上ないフレーズにより言語化され、図らずも目からウロコが落ちそうになりました。

 それと同時に最近では自分がこういった感情を抱くことがほとんどなくなったことにも気が付きました。僕はここ2年ほど仕事以外でスキルアップのため1日最低1時間以上勉強しているのですが、Fラン大学出身で学生時代には勉強習慣など微塵もなかった僕がなぜアラサーになって勉強できるようになったか考えたところ、それは自分は頭がそれほど良くないと悟ったからなのです。
 いや、正確に言えば悟りたくなかったけれども、悟らざるを得ない状況に幾度どなく出くわしてしまって、仕方なく悟った、になるでしょう。

 僕も昔はそれこそ学生時代から自己啓発書やビジネス書を読み漁り、ネットでは政治や社会問題に関するまとめ記事を読んだりして「俺は周りの連中と違って、なんと次元の高い人間なんだ」とイタいことを考えていたわけですが、Fラン大学に入ってしまっている時点で程度が知れているわけですよ。
 偏差値の低い大学に入ってしまったことはいいとして、そこから就職で有利になるためにビジネス的な活動をしたり、団体活動をやったり、はたまた資格取得の勉強をしたかといえば全くやっていない。やっていることと言えば一人暮らしのアパートでひたすら『プリズン・ブレイク』のDVDをエンドレスで観るだけ。

 その割には自己啓発書に触発されて毎朝自分が達成したい目標を紙に10回ずつ書いてみたり、風呂上がりに鏡に映る自分に向かって「お前はやればできる男だ」と言い自己暗示をかけてみたり、残りの人生60年かけて達成すべき人生の大目標とそれを達成するためのライフプランをノートに詳細に記述してみたり。

 ただ、そんなことをやっていても目の前のTOEICの公式問題集には1単語1文字たりとも手が伸びない。

 社会人になっても終始そんな感じで、新卒で入った家電メーカーの事務職は当然のことながら全く成果など出せるはずもなく常に怒られる。当時流行していた街コンに参加してみてもことごとく女の子から相手にされない。
 それでも僕はずっと「今は物事の歯車の噛み合わせが悪く、運が巡ってきてないだけで、本当の俺はこんなものじゃないはず」「女の子はみんな見た目がいいだけで中身が薄っぺらい男に惹かれて、何も分かってない。だけどいつか俺の本当の価値に気がつくはず」と割と本気で思っていました。結構、ガチ目で思ってました。

 そういうことを強く思えば思うほど理想と現実には大幅な乖離ができて、「自分は運が悪いだけ」では乗り越えられない事態に遭遇するのです。
 例えば僕でいうと新卒で入った会社でサービス残業を毎月100hほどこなして会社に尽くしてみても、全く評価されなかった。好きだった女の子といいところまで行くものの、ひょいと現れたスペックのいい男に一瞬で取られる、など。

 たとえ自分の運が悪かろうと、自分の周りには僕のことを正当に評価できる女の子がいなかろうと、少なくとも僕はそういう世界に生かされているわけで、理由はともあれ「成果が出ていない」という現実は歴然とそこに横たわっているのです。それに気付かされたとき「あぁ、これはもう俺は頭が悪くて実力もないんだから、地道に勉強するしかないな」と思えるわけです。

 

 翻って「自分より頭が悪そうなやつが稼いでいるのを見ると腹が立つ」のは自分には能力がないことを認めるのが嫌だからなんですよね。ましてそいつが「僕は才能はなかったですが、努力でここまで稼げるようになりました」なんて言い出したら、間接的に自分が単なる怠け者だと証明されてしまう。
 
成功者の言動ひとつひとつに「それは詐欺だ!」と言ってみるのも「自分が成功していないのは、自分がまじめにやって、他の人間がズルをしてるからだ!」と思いたいからだし、経歴をくまなく調べてみては「なんだ、いいとこのボンボンじゃないか。生まれが良かったから成功したんだ。なら生まれの良くない俺は成功できなくて当たり前だ」なんてやってる。

 自己啓発書やビジネス書をせっせと読む割に勉強本体には手を付けられないのも、本当に勉強を開始すれば結果が出て自分が頭が良くないことを突きつけられてしまう。だから行動に移せない。

 自分が頭が悪いことを認めるってめちゃくちゃ辛い作業で、そう簡単にできるものじゃないんです。
 前述の通り僕はサービス残業を新卒の頃は毎月100hこなしたと書きましたが、これが中途半端にブラックな環境で、毎月45h程度仕事をさせられる環境だったら自分の頭の悪さを認めて地道に努力することを決意できなかったと思うんですよね。
 街コンや合コンだって、普通は2~3人の女の子からドタキャンやLINEブロックをされたらその時点で心が折れて、そういう活動には二度と参加しなかったでしょう。でも上司や友人が半ば強制的に僕を出会いの場に駆り出したからこそ莫大な数の女の子からの拒絶を浴び、「自分のスペックの低さに言い訳をしていても現状は何も変えられない」と思い自分を変えようと決心がついたのです。
 ある意味で僕は不遇な環境に身を置けて良かった。

 

 今の現状をなんとかしたいと思いつつも具体的な行動に移れない。自分に自信が無いものの心のどこかで「俺は頭が悪くないはずだ!」と思ってしまう人は、たとえそれが逃げだとしてもいいから、何かしらの行動をするべきです。
 それこそ鏡に向かって「お前はやればできる男だ」と言ってみたり、紙に達成したい目標を毎朝10回書くでもいい。逃げて逃げて逃げて逃げ回って、その果てに逃げ道がないことが分かって初めて正面から勉強ができるようになります。

 今すぐには変われなくとも、こういうシステムを頭のどこかに入れておけば、いつかきっと変化するタイミングが訪れると思います。

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