書籍

生産する趣味の強さ『明日クビになっても大丈夫!』

 今日本で一番数字を持っていると言われているWebライター、ヨッピーさん。

 彼の書く記事はネット上でも毎回数多くのバズを生み、ヨッピーさんが書いた「千葉市長とシムシティで対決」や「AV女優と童貞の合コン」の記事を読んだことがある人は多いのではないかと思います。

 そんな彼が「行動したいけど、何をしたらいいか分からない人」に向けて書いたビジネス書、『明日クビになっても大丈夫!』。

 破天荒なパブリックイメージとは裏腹に、内容は非常に堅実。安易に起業を推奨することもなく、この手の本にありがちな「そんなことができるならとっくにしてるよ!」というツッコミを入れることもありません。

 Webライターに限らずビジネスマンであれば誰が読んでもためになる本書を今日は紹介していきたいと思います。

自分の裸を晒すのが仕事

 まず最初に、僕がなんの仕事をしているかについて書こうと思う。僕のことなんて知らない人がほとんどだろうけど、つまりは自分の裸をインターネットに晒すのが僕の仕事だ。

 僕はWebライターと呼ばれる職業についていて、銭湯が死ぬほど好きだ。銭湯の良さを世間に広めたいと思ったのでこんな記事を書いている。これの何がすごいって、醜い体型をした汚いオッサンが銭湯に浸かっているだけの記事でしかないからだ。
 古いタイプのライターであれば「おっさんを湯船に浸けても誰も喜ばないから、もう少しきれいな女子大生やモデルなんかを使いませんか」なんて編集部に提案しているに違いないが、実際のところはこの「おっさんが風呂に入る記事」を書くことによって原稿料を得ているのでこれも立派な仕事と言える。

 他にもこういうものがある。

 現役の千葉市長である熊谷俊人氏と「シムシティ」の対決をした。何故こんな事をしているかというと「シムシティ」という街づくりゲームのプロモーションのために行った企画で、「街づくりのプロである現役の市長はゲームでも街づくりが上手いのか?」というのを検証するために千葉市長にご協力いただいたのだ。

 ちなみにこの企画はインターネットで爆発的にウケて、シムシティのダウンロード数も死ぬほど伸びた。前述した銭湯の記事でも取材させていただいた銭湯の店主から「お客さんが増えた」と大層喜んでもらった。「風呂に入る仕事」「市長とゲームをやる仕事」なんて言ったら「こいつ頭大丈夫か?」と思われるかもしれないけれど、実際にこれで収入を得ているのだから仕方ない。

 こうやって自分の仕事を紹介しているうえで、僕が皆さんに何を言いたいかと言うと、要するに僕は「好き放題している」ということだ。

 

好きで仕方ないことを仕事にしたほうが断然強い

 長々と自分について書いてしまったけれど、結局のところ言いたいのは「貴方も本業以外に何かやれ」ということだ。

 それはたったひとつの趣味で構わない。その「趣味」が「仕事」に変わった時、「趣味が仕事」というのはそれだけで大きなアドバンテージになるからだ。「嫌々やってるプロ」と「好きでしょうがない素人」が勝負したら素人が勝つことのほうが断然多いのではなかろうか。

 例外はプロ野球を始めとするプロスポーツくらいのもので、スポーツ競技以外のジャンルに関しては「自分の仕事が好きじゃないプロ」がたくさんいる。大企業勤めのサラリーマンなんて大抵そうじゃないか。

 サラリーマンとして、9時から18時までの時間だけその事を考えてるやつと、寝ている時以外ずーっとその事を考えているやつが戦ったら絶対後者が勝つに決まってる。

 だから「仕事になり得る趣味」をみんな持ったほうがいいのだ。そしてそれが本業になれば、きっと大きな実績だって残せる。だから、貴方がまだ「天職」を見つけていないのであれば、何かを始めなければいけない。

 

こっそりと二足のわらじを履こう

 「よし! じゃあ僕もなんかやろう!」と思ってもらうのがこの本の趣旨ではあるのだけど、だからといって「よし! 明日会社辞めよ!」って決断するのはまだ早い。

 僕がサラリーマンをしながら「オモコロ」で記事を書いていたように、貴方にも本業と並行して「趣味」を徐々に発展させていくことをお勧めしたい。
 「社畜か? それとも起業か?」なんて極論もいいところだ。あんなものは無責任なクルクルパーだから言えることであって、貴方のことを親身になって考えれば「会社、辞めれば?」なんて気軽に言えるセリフではない。

 もっとマイルドな選択肢が他にもあるんだぞ、ということを僕は言いたい。
 こっそりと趣味の延長線上、あくまで副業として事業を開始することをお勧めしたい。それには大きなメリットがあるのだ。

 

「本気で取り組まないと専業には勝てない」のウソ

 サラリーマンを辞めた人が必ず通るのが「稼げずの谷」である。

 好きなことで食おう、それはいいのだけど、最初から順調に稼げる事なんてまずないだろう。例えば僕がサラリーマンを辞めてすぐの頃の、ライターとしての月収は4万円である。4万円て、高校生のバイト代かよ。

 なのでサラリーマンとしての収入で「生活の安定」を維持し、もう一方の趣味で「自己実現」を追求すればいい。僕が営業マンとライターという二足のわらじを履いていたように、そうすればやっているうちに「やっていけそうか、ダメか」「自分が向いてるか、向いてないか」くらいは分かってくると思う。

 「会社を辞めて本気で取り組まないと専業には勝てない」みたいな事を言う人もいるけど、あんなのは完全にウソっぱちなので無視しておけばいいと思う。

 友達で、今や売れっ子漫画家になって、フォロワー数80万人を超える鴻池剛くんも、元々は一介のサラリーマンで仕事の合間にTwitterに漫画をアップしていたのが何万とリツイートされ爆発的に人気になった。ちにみに鴻池くんはヘビーな環境で生まれ育っていて、ホームレスになって新宿を徘徊するような生活をした経験がある人間なのだけど、単行本が売れまくり、キャラクターグッズなんぞもあちこちで売り出されているので収入はえげつないことになっているはずである。

 飲食店がやりたいなら土日を使ってバイトで潜り込んでみればいいし、農家をやりつつ自給自足生活がしたいならとりあえず会社勤めをしながらギリギリ通える田舎に引っ越すなり、週末農家なりを体験すればいいのだ。会社を辞めるなんて大きなリスクを取らずに、まずは副業からスタートするレベルで全然構わない。

 「サラリーマンを辞める」となると圧倒的に自由になるような響きを受けるかもしれないけど、それは大きな勘違いで、実際は「食わなきゃいけない」という強烈なプレッシャーが個人をがんじがらめにする。自由になりたくてサラリーマンを辞めたのに、辞めた途端にサラリーマン時代以上の不自由が待っているなんてことはザラにある。でも副業として、趣味の延長線上でやるのであれば、そんなふうなしがらみに囚われなくて済む。

 

生産する趣味と消費する趣味

 さて、そうやっていろんなものにチャレンジしてみて、自分で「これだ!」と思える趣味を見つけることが出来たとする。ここで僕が勝手に定義づけた2つの趣味について書こうと思う。

 大雑把に分けて「生産する趣味」「消費する趣味」だ。

 要するに「その趣味を通じてお金が稼げるようになる可能性がある、もしくは新しい人と知り合う可能性があるもの」がつまり「生産する趣味」で、逆に「その趣味を通じてお金が稼げるようになる可能性がなく、新たしい人と知り合う可能性もないもの」が「消費する趣味」となる。

 例えば僕が風俗に行くのが異常に好きだったとして、いろんなファッションヘルスなんかに突撃してテカテカした、満足げな顔で帰るだけならそれは単純に「消費する趣味」になる。だって、僕が風俗に通いまくったところで新しい人と知り合ったりお金を稼げたりする可能性はゼロに近いからだ。

 けれども、仮に僕がせっせと風俗に通いつつ、その行程をブログに書き起こしたり、お気に入りの店なんかについてレポートしたり、「地雷嬢の見分け方」「パネマジの見分け方」みたいな記事をせっせと書いたら、それによってブログの広告収入が得られるようになるかもしれないし、「仙台のピンサロマスター」とか「名古屋のヘルス番長」とかそういう同好の士と知り会えるかもしれない。

 こうなると「消費型」が「生産型」に変わった、と言える。

 貴方が映画を見るのが好きだとして、TSUTAYAで借りてきた新作の映画を見たとしよう。「あー面白かった」で済ませればそれは「消費する趣味」になる。「漫画を書くのが好き」という人も、ノートに漫画を描いて満足しているだけなら「消費する趣味」だけど、それをTwitterやブログに載せれば「生産する趣味」に変わる。大事なのは消費して満足して終わり、ではなく、何かしらの「アウトプット」を世に対して続けることである。

 

人に見られることで、趣味は発展していくのだ

 趣味を生産型に変えると何が起こるかと言うと、まずその趣味に対する姿勢が変わってくるはずだ。具体的には目標が出てくる。アクセス数が欲しくなるだろうし、「まだ見てない映画を見よう」というモチベーションにもなるはずだ。そしたら貴方は「映画見なきゃ」って思うはずだし、レビューを書くために今まで以上に真剣に、分析をしながら映画を見るようになるだろう。話題の映画ならいち早く見てレビューしようと思わないわけがない。

 そうやってどんどん映画に対する知識が蓄積されてゆく。モチベーションも上がる。「私を見ている人がいる」という事実が貴方の背中を押してくれるのだ。アウトプットすることで「背中を押してくれる人たち」がどんどん増え、どんどん実力以上の事がやれるようになるのだ。

 写真が下手だから、しゃべりが上手くないから、文章が下手だから、なんて理由でアウトプットを諦める必要はない。続けていけば必ず上達するからだ。「上手いか、下手か」で判断するのではなく、「好きか、嫌いか」で判断しよう。文章が下手でも書くのが好きならどんどん書いていけばいいと思う。下手は下手くそなりにやっていくことで徐々に洗練されていくのは間違いない。最初からホームランを撃ちまくる野球少年がいるのか? っていう話である。

 貴方の趣味が発展し、ファンや仲間が増えてきたら、「お金」というものは勝手に向こうから転がり込んでくるようになる。ブログが人気になれば広告を貼ってお金を稼ぐこともできるし、「ウチにも書いてください」みたいな依頼が来るようになる。YouTubeも同じく広告収入が得られるような仕組みがある。人気のあるイベントを作ることができればマネタイズするのは簡単だし、分かりやすい事例だとTwitterのフォロワーが3万人超えればなんだかんだで何かしらの「お金」に関わるような発注、打診が届くようになるはずだ。

 だから、そこから先「どうやってマネタイズするか」という部分に関しては今からあんまり悩む必要はない。「とにかく発信する」「とにかく自分の周りに人を集める」という事に特化していれば、お金はあとからどうにでもなる。

 

 最近のビジネス本ですと「サラリーマンなんか辞めても大丈夫! 失うものなんて無いんだからとにかく挑戦してみよう!!」という論調が多かったのですが、普段破天荒な記事ばかり書いているヨッピーさんが「いや、ちょっと待て!!」とストップを掛ける様子がとても意外でした。

 副業と言うと最初から何か大きなことをやらないといけないような雰囲気がありますが、そうではなく、まずは自分の好きなことを見つけようと。それが見つかったら今度は発信し続けよう。発信し続ければいつかお金はついてくるからという内容にはとても勇気づけられました。

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