- ExcelでMOSとVBAの勉強をしたいけど、どうやって勉強したらいい?
- MOSとVBAを勉強したらどんないいことがある?
- 資格を取るにはどれくらい時間がかかるの?
僕は現在「MOS Excel2016エキスパート」「VBAエキスパート(スタンダード)」という2つの資格を取得しています。
イチから始めて資格取得までにかかった時間はトータルで約100時間。
地道に努力すれば誰でも合格できるし、一度取得できてしまえばこれほど現場で役に立つ資格は他にありません。純粋に自分やチームの作業効率が大幅にアップするし、人事評価の際の実績アピールにも使えます。そして転職の際の武器としても使用できてしまうのです。
そこで今回はこの2つの資格の勉強法について書いていきたいと思います。
この記事の内容
- 資格取得に必要な時間
- 使用すべきテキスト
- 独学での勉強法
- 資格を取るメリット
- 実際の試験の難易度
Excelの資格の種類:MOSとVBAエキスパート
現在の日本ではExcelに関する資格が大きく分けて2つあります。
★マイクロソフトが主催するMOS(Microsoft Office Specialist)
→Excelの機能をいかに使いこなしているかを測る資格
★オデッセイ・コミュニケーションズが主催するVBAエキスパート
→Excelとプログラミングの技術を組み合わせて、いかに作業を効率化出来るかを測る資格
この2つの資格には「一般」「上級」の種別があるので、計4種類の資格が存在することになります。
番号 | 試験種類 | 難易度 | 主催 |
① | MOSスペシャリスト | 一般 | マイクロソフト |
② | MOSエキスパート | 上級 | |
③ | VBAエキスパート(ベーシック) | 一般 | オデッセイ・コミュニケーションズ |
④ | VBAエキスパート(スタンダード) | 上級 |
Excelの使用経験に応じた取得すべき資格
Excel未経験(全くExcelに触れたことがない)
MOSエキスパートまで
Excel経験者(Excelを多少使ったことがある)
VBAエキスパート(ベーシック)まで
プログラマー・エンジニア(日常的にExcelを使用して業務を行っている)
VBAエキスパート(スタンダード)まで
それぞれのレベルに応じてどこまで勉強をすべきかというお話ですが、実際に試験に合格してみて感じるのはMOSの勉強だけでも現場で十分作業の効率化は図れるということです。そのため今までExcelをほとんど触ったことがないという人はまずMOSエキスパート合格を目指しましょう。
日常的にExcelを使う現場で働いている方はVBAエキスパート(ベーシック)までの資格を目指すのが良いと思います。VBAはプログラミングの知識が必要になってくるので、ある程度の素養がないと多少厳しくはなります。ただしベーシックまでであればそこまで苦労することなく習得できますので、一度ベーシックレベルまでのVBAを覚えて、もっと学習したいと思えばスタンダードの方に挑戦しましょう。
そしてプログラマーやエンジニアのような、日々大量のデータを扱う現場に就いている方はぜひVBAエキスパート(スタンダード)まで取得してください。プログラミングの知識と言ってもIf/For文がどのようなものか理解できるレベルであればスタンダードは問題なく取得できます。
MOS&VBAエキスパートの勉強をするメリット
- どの現場でも即座に役に立つ
- 自分の成果を語ることができるようになる
- 勉強習慣が身につきやすい
どの現場でも即座に役に立つ
Excelは国内の企業のほとんどが使用しているソフトのため、一度身につけてしまえばどの会社でも通用するこれ以上無い即戦力スキルとなります。今の日本の資格試験において100時間という比較的短い時間で取得できて、かつ、実際の現場で役に立つものもないので、これからスキルアップの勉強をしていきたいと思っている人にはまさにうってつけな資格です。
自分の成果を語ることができるようになる
営業やエンジニアのような数字の出る仕事ならまだしも、例えば事務職だとどれだけ目の前の仕事を頑張ったところで「平均に比べてどれだけ成果を挙げたのか」が可視化しにくく評価が上がりづらいという構造があります。しかしExcelを覚えることによって工数の削減を実施すれば「今まで10時間かかっていた作業を1時間で終わらせることが出来るようになりました」と誰もが分かる "時間" という尺度で成果を語ることが出来るようになるので評価アップにも繋がります。
特に今どきの企業ならどこでも年度始めに書かされる目標達成シートでもVBAは大いに役立ちます。「組織貢献」の欄は「年6個マクロを作成することで業務の効率改善を実施し、チーム全体の生産性向上に貢献します」と書けばいいんです。そしてマクロもネットで公開されていて自分の現場で使えそうなものをいくつかコピペしてしまえば、それだけで「組織貢献」の項目は達成です。
勉強習慣が身につきやすい
VBAを使ったExcelでのプログラミングもC言語やJavaと異なり、プログラミングの結果が即座に見えるので、他の言語を勉強するよりも継続できる確率が非常に高いです。使っている人口も圧倒的に多いため書籍・インターネット上でも有益な情報が溢れています。そのためこれからプログラミングを学習したいと思っている人には、まずVBAをやってみるのが良いでしょう。
特にVBAは自分で作ったものがダイレクトに仕事の効率改善につながるので「勉強する→マクロを作る→仕事が楽になる→勉強する→マクロをー」と良い循環に入ることができます。
使用するテキスト(+Webサービス)
MOS&VBAエキスパート資格取得に必要なテキスト(+Webサービス)は下記の通り。
- よくわかる Microsoft Excel 2016 基礎(FOM出版)
- よくわかる Excel 2016応用(FOM出版)
- よくわかる Excel 2016 マクロ/VBA(FOM出版)
- MOS攻略問題集Excel 2016エキスパート(日経BP)
- よくわかる Excel 2016VBA プログラミング実践(FOM出版)
- VBAエキスパート公式テキスト Excel VBAベーシック(オデッセイコミュニケーションズ)
- VBAエキスパート公式テキスト Excel VBAスタンダード(オデッセイコミュニケーションズ)
- VBAエキスパート試験対策webサービス
1.よくわかる Microsoft Excel 2016 基礎
【対象】
Excel未経験:要
Excel経験者:不要
PG・SE:不要
【勉強時間】
5h
【勉強方法】
Excelのアプリケーションを起動するところから始まって関数の使用やグラフの作成、オートフィルターの使い方など、本当に今までExcelを全く触ったこと無い人向けの本。Excelを一度でも触ったことがある人にとっては不要。
勉強の仕方としてはテキストで指示されている通りに自分もExcelで入力を行い、テキストと同じ結果になるかを確認しつつページを進めていきます。
このFOM出版から発売されている「よくわかる」シリーズは章末に練習問題がついているので、答えを見ずに自分の力で回答できるようになればOKとします。
2.よくわかる Excel 2016応用
【対象】
Excel未経験:要
Excel経験者:やった方がいいかも
PG・SE:不要
【勉強時間】
5h
【勉強方法】
『基礎』から発展して更に高度な関数、ピボットテーブル、SmartArt、簡単なマクロの使い方を学習します。
日常的にExcelを触っている人であればだいたいは知っている内容なので、時間に余裕があればやったほうが良いかもしれません。
こちらも章末に載っている練習問題が自力で解けるようになればOK。
3.よくわかる Excel 2016 マクロ/VBA
【対象】
Excel未経験:要
Excel経験者:要
PG・SE:不要
【勉強時間】
10h
【勉強方法】
Excelのマクロ/VBAについて基礎から学べる本。ここからプログラミングの技術を使ってExcelの操作を学びます。
内容としては基礎的な内容のため、初心者でもプログラミングのなんたるかが理解できます。ただしこれがプログラミング初挑戦となると多少苦しいところは出てくるかもしれません。
プログラミング学習においては必ず自分の手でコードを書いてみて、そして実際に動かすことを心がけてください。
こちらも章末に載っている練習問題が自力で解けるようになればOK。
4.MOS攻略問題集Excel 2016エキスパート
【対象】
Excel未経験:要
Excel経験者:要
PG・SE:要
【勉強時間】
35h
【勉強方法】
実際のMOSの試験を想定した模試。本と一緒にCD-ROMが同梱されており、それをPCにインストールすると模試が受けられるようになります。
本に載ってる問題とCDに入っている問題は別物で、僕はまず本を一通り解いてみたのですが、振り返ってみるとひたすらCDの方の問題だけ取り組めばよかったなと思ってます。
勉強の進め方としてはこのCD版の模試をとにかく繰り返し解いてください。1周目はチンプンカンプンでただ答えを見るだけになってしまいますが、最初はそれで良いんです。MOSは基本的には操作を覚えるだけなので周回を重ねるごとにどんどん早く解けるようになるでしょう。
CD版の模試は間違えたところだけ後から復習できる機能があるので、その機能をうまく使いつつ、満点が取れるまでになればOKです。
満点が取れたら実際にMOSを受験しましょう。
5.よくわかる Excel 2016VBA プログラミング実践
【対象】
Excel未経験:-
Excel経験者:要
PG・SE:要
【勉強時間】
25h
【勉強方法】
『マクロ/VBA』から更に高度なプログラミングを学習します。この本の学習が終われば一般的な事務職においては十分満足できる作業効率改善システムが作れるようになると思います。(ちなみにMOSの試験にはこのレベルまでのマクロ/VBAの知識は不要)
非常に丁寧な解説がされるものの、それなりに難しいので本職がエンジニアである僕でも25hかかってしまいました。
ポイントとしては頭からひとつひとつ厳密に理解していこうとするのではなく、中途半端な理解でもいいのでどんどん先に進めていくことです。何周も繰り返していくことで徐々に理解できる範囲を増やしていきます。僕は合計7周ぐらいしました。
本書は章末に載っている練習問題が答えを見つつ、スムーズに解けるようになればOKです。
(レベルが高いので完全に自力で答えられるようになる必要はない)
6.VBAエキスパート公式テキスト Excel VBAベーシック
【対象】
Excel未経験:-
Excel経験者:要
PG・SE:要
【勉強時間】
5h
【勉強方法】
VBAエキスパート(ベーシック)の公式対策本。
テキストの方は一応VBAの解説が載っているのですが、説明は非常に雑なので、これを使ってVBAの勉強することはできません。ただし本に公式(オデッセイ・コミュニケーションズ)から提供されているWeb版の模試にアクセスできるシリアルコートが載っているので、そちらを利用して試験対策を進めましょう(テキストはあくまで試験範囲の確認にのみ使用)。『よくわかる Excel 2016VBA プログラミング実践』が終えれていれば特につまづくこともなく終えられると思います。
ただし模試の方はすべて選択式になっていますが、実際の試験では記述問題もいくつか出てくるので、模試の問題を記述式でも答えられるようにしっかり頭に入れておきましょう。
7.VBAエキスパート公式テキスト Excel VBAスタンダード
【対象】
Excel未経験:-
Excel経験者:余力があれば
PG・SE:要
【勉強時間】
5h
【勉強方法】
こちらもベーシックに引き続き公式本。VBAの解説なのでテキストは早々に読み飛ばし、Web版の模試に取り組みましょう。
スタンダードの方は本番の試験が模試に比べ断然難しくなっているので、こちらの対策本だけでは全く通用しません。そのため模試の40問を終えたら次に出てくる『VBAエキスパート試験対策Webサービス』に取り組んでください。
8.VBAエキスパート試験対策Webサービス
【対象】
Excel未経験:-
Excel経験者:余力があれば
PG・SE:要
【勉強時間】
20h
【URL】
https://www.exam-vba.com/
【勉強方法】
元々KindleでVBAの試験対策問題集を発売されていた原本羚央さんが「Web上でVBAの勉強ができるように」と立ち上げたサービス。現在約3000円で利用が可能。本番と同様の模試問題が200問も収録され、これさえすべて解けるようになればスタンダードの試験は合格できるようになります。
スタンダードはそれなりに難易度が高いので、取り組む問題一つ一つを丁寧に理解していく必要があります。ただ単純に答えを覚えるのではなく「なぜこうなるのか」をしっかり自分の中で説明できるようにならなければいけません。
復習機能も充実しているのですが、僕は間違えた問題は紙に書いていつも寝る前・朝起きた直後に見返すことで記憶に定着させていました。
実際の試験の難易度
MOS
『MOS攻略問題集Excel 2016エキスパート』の模試の問題よりかはやや難しい程度です。ただし模試で満点を取れていれば数問落としたところで十分合格点には達するので心配することはありません。また近年の試験では毎回必ずCUBE関数に関する問題が出題されるのですが、CUBE関数はExcel2016から追加された関数(機能)であり、どこにも詳しい解説が載っていないので少し挑戦してみて理解できないようであれば潔く捨ててしまいましょう。(僕は捨てました)
VBAエキスパート
難易度自体は『VBAエキスパート試験対策Webサービス』に出てくる問題と同等です。ですがVBAの場合はMOSと違ってただ操作を覚えれば良いわけではないので、そっくり答えを覚えるだけになってしまっていると落とし穴にハマってしまうかもしれません。問題を解きつつひとつひとつ動作を確認していきましょう。
ガントチャート
実際に僕が勉強したときに使用したガントチャートを貼り付けておきます。
→JPEGデータ
MOSやVBAエキスパートは地道に勉強をしていけば100時間程度で確実に合格することが出来る試験です。
Excelはどこの現場でも使われてはいるものの、意外と「使いこなせる」というレベルの人はいません。
新入社員の方でもでMOSやVBAエキスパートの資格が取れるレベルでExcelを使いこなせていると「あいつはExcelが得意だ」ということで上から仕事を振ってもらえますし、得意なことが見つかるからこそ自信にもつながります。
ひとつ得意なことが見つかればそこからどんどんと新しいことに挑戦もしていけるので、スキルアップをしたいと思っている人なら誰にでもオススメの資格です!