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考え方

事務職は日を追うごとに減ってゆく

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 先日同じくIT業界で仕事をしている友人複数から「自社の事務職部門を縮小させる」という話を聞きました。これを聞いたときは半ば他人事で「やはりIT企業だと機械化を早く取り入れるから事務職は追いやられてしまうのだなぁ」と思っていましたが、そのわずか数日後に弊社でも「事務職は今後正社員採用をストップさせ、今後は業務をすべてアウトソーシングによって賄う」と発表があり大変驚きました。

 自分も新卒の頃は弱小メーカーで事務職をやっていましたが、当時から事務職縮小の気運は感じ取っていたものの、まさかこれだけのスピードで事務職社員が機械に取って代わられる(以下 "システム化" と表現します)とは思ってもいませんでした。

 本記事執筆時点から遡ること数ヶ月前にChatGPTと呼ばれる無料AIサービスがリリースされましたが、自身でもそのサービスを試してみたところ、あまりの反応の精度の高さに驚かされました。基本的にはこちらが投げた質問にAIが回答してくれるというサービスで、こちらが普通の日本語で投げかけ、多少誤字脱字や背景説明の抜けがあったとしてもそこを補完してまったく違和感のない回答を出してくるのです。

 この回答システムと音声システムがうまいこと接続されれば、世の中にあるコールセンター的なものはほとんど駆逐できてしまうでしょう。音声システムに接続できなくても、テキストベースでやり取りする分には全く問題がなく、今現在でも「サポート係」のような職種は人員の大幅な削減が可能です。

 他にもChatGPTとは別のシステムですが、AIによる画像認識の精度も非常に高く、ひとたび画像を取り込めば、それがどんな商品か瞬時に判別してしまいます。カメラ一台と商品を読み取るためのベルトコンベア的なものがあれば会計はすべて出来てしまうので、スーパーのレジ打ち要員も不要になるでしょう。

 これに関連して書類仕事も今までどこの現場にもそれなりにあった「書類からデジタルデータに文字起こしして、情報を別システムに人力で入力する」という作業も、これからは写真を撮るだけで一発で実施してくれそうです。

 このように今後事務職はシステムによって駆逐され、エンジニアのような開発職か営業のような仕事しか残らないでしょう。

 あまり言いたくない話ですが、基本的に企業にとって人というのはコストでありリスクなのです。人を雇えば働かせている時間だけコストはかさみますし、事故や情報漏洩を起こせば最悪数億円の損害賠償が発生する。稼働させれば稼働させるほどミスは必ず増えていくし、どうやったって人ひとりが捌ける情報量には限界があります。

 その代わりシステムはインプット情報が間違っていない限りは毎回必ず正しいアウトプットを出します。どれだけの作業を与えても一瞬でこなし、不平不満を言わない。経営者としては可能な限り業務は何でもシステムに置き換えたいと思ってしまうのは無理ないでしょう。

 自部門で売上を出せないコストセンターたる事務職は、数字としてその成果を客観的にジャッジできないので、どれだけ頑張っても周りから評価されるということは非常に少ない。むしろ仕事を効率化して、事故が起こらないように事前に根回しをして、うまく仕事をこなせばこなすほど「あいつは暇そうだ」と評価が下がることがあります。

 だから事務職で存在感をアピールしようと思うと無駄な残業や、本来やらなくてもよい余計な作業を増やさざるを得ないのです。ただ余計な作業を増やしたとて、自分で手を動かすのは嫌なので、往々にしてほんとうにしんどい部分は他部署に仕事を丸投げしがちです。だから事務職は自部門で売上を出せるプロフィットセンターたる開発や営業から「あいつらは余計な仕事を増やすことしかしない」と疎まれることが多い。事務職は構造的に腐っていきやすいのです。

 世の中の仕事は基本的にシステムに置き換えられていく流れであります。とはいえ「システム化できないことはないが、導入費用が高い」領域もあり、いわばシステムとシステムの間を事務職が取り持つことが多くあります。だからひとつひとつの作業は単純かもしれませんが、作業内容は多岐にわたるし、無駄に人間関係には気を遣います。逆をいうと、そういう多岐にわたって気を遣う部分だから事務職として賃金が発生するのです。

 事務職は「閉鎖的で、自己完結できず、マルチタスクでいて、人間関係にも気を遣う。売上という数字には表れはしないが、大事な仕事なのだ」という気持ちは分かります。僕も新卒時代は事務職だったので、その気持は本当に痛いほど分かります。でもやっぱり売上として数字に表せない仕事は周りから評価もされないし、やはり売上として数字が出ない以上、簡単には給料を上げれないのです。

 決められた時間に出社して、クーラーの効いた部屋で頭を使わずに一人黙々と作業をして、時間になったら帰る。そんな仕事は今後どんどんなくなっていくでしょう。あったとしても成人した人間が満足できるような賃金はきっと得られないはずです。

 幸いなことに、営業の仕事はともかく開発の仕事は団塊の世代の引退により深刻な人手不足で今後引く手あまたですし、賃金も上昇の一途をたどっています。もし十分な賃金がほしいというのであれば今のうちから開発へと進みましょう。

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