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歴史を背負いすぎた男、ランボー『ランボー:ラスト・ブラッド』レビュー

 『ランボー:ラスト・ブラッド』を観ました。今回はそのレビューを書いていきたいと思います。

 今回は予告編や公式サイトに掲載されているストーリーのみネタバレをしていきますので、まだ未見の方はご注意ください。

 

 今回の『ランボー:ラスト・ブラッド』、点数をつけるのであれば100点に近い内容です。

 僕は幼少の頃からスタローンの大ファンで、彼の作品はほとんど鑑賞していますが、その中でも1,2を争うほどに面白い映画でした。

 

 まず何が面白かったかと言うと「悪を徹底的に純粋な悪として描いた痛快な娯楽作に仕上がっている」という点です。

 9.11以降のハリウッドでは悪を純粋な悪として描くことが非常に難しくなり、「悪も悪なりの事情があって犯罪行為に手を染めている」というバックグラウンドが描かれるようになってしまいました。

 もちろんそうすることでストーリーに厚みが出るという良い側面もありますが、僕としてはときおり「スカッとしたアクション映画を観たいのに、悪役にも感情移入させられるとイマイチ爽快な気分になれないんだよな」と思ってしまうことがあります。

 

 さて、今回の悪役となるのは義理の孫娘を誘拐したメキシコの人身売買組織。彼らは徹底的に悪役として描かれ、我々観客は思わず「ランボー、あいつらに可能な限り苦痛を与えた上で、この世から消し去ってくれ!」と思ってしまいます。

 僕は今まで数多くの映画を見てきたつもりですが、ここまで悪役に対して胸糞が悪くなったこともありません。

 そういった観客の期待に答えるがごとく、ランボーはクライマックスで悪役ひとりひとりに対し、丁寧に正義の鉄槌を下していきます。

 悪役に対して憎しみを抱いていた分、そのカタルシスの絶大さは他の映画の追随を許さないものになっていました。

 

 次に面白いと感じた点は「ランボーは歴史をあまりにも背負いすぎている」という点です。

 僕はこのランボーを観ていて、幾度となく涙ぐんでしまいました。

 例えば義理の孫娘・ガブリエラがメキシコのスラム街に住む実の父親のところまで会いに行きたいといい、それをランボーが止めようと説得するシーン。

 傍から見ているとなんとでもないシーンですが、僕は気づいたら泣いてしまっていたのです。

 というのもランボーはこれまで何度となく自分が信頼していたものから裏切られ続け、その男がやっと最後に見つけたかけがえのない存在ガブリエラ。そんな彼女がもしかしたら危険な目に遭ってしまうかもしれない。

 何気ないワンシーンであっても、過去のシリーズで描かれてきた歴史が思い起こされてしまう。

 特にスタローンの円熟した演技も相まって色々なことを考えてしまうのです。

 かけがえのない存在だからこそメキシコに行かせたくないものの、説得の口数は少ない。それは常にランボーが時代や環境に振り回されてきたからこそ「自分以外のものをコントロールすることは不可能だ」と諦観に囚われていることの表れでしょう。

 世の中、数多くのシリーズ映画作品はありますが、主人公のキャラクターが何かを喋ったときにその背後にあるドラマを思い起こしてしまうことはあるでしょうか。

 『ミッション・インポッシブル』の最新作のトム・クルーズを観ていても過去作に思いを馳せることはないでしょう。『ターミネーター』の最新作でシュワルツネッガーを観ていても同じことです。

 一人の俳優が40年以上業界の最前線にいて、かつ、その主演作が未だに世界的なヒット作となっている。

 そんな存在は世界を見渡してもスタローンだけです。

 スタローンだからこそ、自身の分身とも言えるランボーは一挙手一投足すべてにドラマを込めることが出来るのです。

 

 この映画で面白いと感じた点の最後は「本作がまるで50年代の西部劇のような重厚な仕上がりになっている」点です。

 僕はこの映画を見ていて思い起こしたのがジョン・ウェインの『捜索者』。拐われた姪の救出に鬼気迫る表情を見せるジョン・ウェインが今回のスタローンと重なります。無謀な戦いに身を投じ、やがて夕日の中に消えていくのは『シェーン』。ラストバトルで見せるランボーの自宅での決戦は『リオ・ブラボー』のようでした。

 西部劇において「出自の分からない凄腕のガンマンが街の悪者を成敗し、その後夕日に消えていく」というのは定番のフォーマットですが、本作ランボーはまさにその流れを踏襲していました。

 

 以上が『ランボー:ラスト・ブラッド』のレビューでした。

 鬱屈した現代社会においてスカッとした気分になりたいときにはぜひおすすめの作品、特にシリーズが好きな方には絶対見ていただきたい映画です。

 ランボーの最後の活躍をぜひ劇場で確認してみてください。

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