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考え方

格差は合理的に拡大する

 僕は元々ビジネス系のコラムを読むのが好きなのですが、その中でも最近自分の中でヒットした記事があります。

 それは大手金融機関でマネージャー職を務めている猫山課長が書かれた『散文:「勝ち癖・負け癖」と、固定化される階層』という記事です。

勝ち組は勝つべくして勝っている。そのうち、勝つことが当たり前になってくる。つまり「勝ち癖」がついてくる。

社会人になるとうっすらわかってきますが、できる人物は常に勝つようになります。

学生時代はテストの点数やスポーツで勝った負けたが頻繁にあり、常に勝利する人物は稀でしたが、社会人になると常に勝つ人物が出てきます。

そもそも、社会人になると勝利の定義が不明瞭になりますから勝ち負けが明確には分からない部分があります。しかし、側から見ていると「いつも勝っている」ように見える人物がいる。

そういった人物は、自分と同じような勝ち組の階層にいる人物と交流し、前向きな刺激を受け、新たなことに貪欲にトライします。それを繰り返してどんどん成長していく。

自身としては、現状が成功しているとは思っていない。だからこそもっともっとと上を目指すのでしょう。彼らは勝ち癖がついていると言うよりは、勝利を追い求める癖がついてると言った方が正しいのかもしれません。そして周りもそんな人ばかりでなのです。

一方で負け組は、現状を卑下し、自分の境遇を外部のせいにします。頭の大半を占めるのは強い「他責」の念です。

勝ち組と同じように、負け組は負け組と付き合います。勝ち組と一緒にいることは避けるようになります。

なぜなら自分が惨めに見えるから。勝ち組との人間的な差を他人に認識されたくないからです。

自分と同じレベルの人間とつるんでおけば、自分のダメさが引き立つことはない。そんな無意識の自己防衛本能から、負け組は負け組と交流するようになり、その階層に自分と相手を固定するようになります。

猫山課長『散文:「勝ち癖・負け癖」と、固定化される階層』

 これには自分にも思い当たるところがあり、心に響きました。

 努力は複利で効いてくるので、努力する人はより努力し成功しますが、努力しない人はより努力しないため成功から遠のいてゆくのです。

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 僕は文系事務職から組み込み系エンジニアに転身し、それと同時に仕事後は毎日1時間勉強することでスキルを身に着け、年収を大幅に上げることを決意しました。

 勉強を開始した2018年当時は履歴書にかけるようなスキルは何一つありませんでしたが、仕事で実績を作り転職して年収は150万円上がりましたし、資格も6つ取得できキャリアの不安はなくなりました。そして勉強開始当時の目標はほとんど達成したものの、勉強はやめることなく今も続けています。

 これと同時に僕は勉強記録SNSであるStudyplusというスマホアプリをやっていたのですが、自分含めてそこにいる人達を観察すると、一個目標を達成して「ハイ、それで終わり」という人はほとんどいないということに気が付きました。

 一個目の目標を達成するまでは「勉強がしんどい」「時間が確保できない」「結果が出ない」とブーブー文句を言うのですが、結果が出たら出たでまた次の目標に向かって歩き出します。そうしてまた次の目標に挑戦するとまた達成できてしまうのです。

 こうして成功体験が複利で積み重なってどんどん成功するようになります。

 成功体験や成功の法則は違う種目にも横展開できるもので、ひとつ達成できれば他のものも次々と達成できます。それはスポーツに例えると分かりやすいですが、野球ができる人間はサッカーもそれなりにはこなせるものでしょう。野球とサッカーは種目としては性質が全く違うものの野球やサッカーで培った "体の動かし方" は別の種目にも応用可能です。しかしながら「野球は出来るけど他の種目は全くできない」「サッカーは出来るけど他の種目は全くできない」という人はあまり見かけたことがありません。

 ひとつの種目が出来るようになれば他の種目も出来るようになって楽しめるものが増えてゆく。それは勉強も同じです。例えばFP3級に合格すれば社会保障や保険、税制、相続のことがわかりニュースを聞いていても理解できる事柄が格段に増えます。今まではよく分からずに避けていた事柄が理解できると、自分と社会とのアクセスが良くなり、ストレスが減ります。

 「勉強をするとこんなにも生きやすくなるのか!!」と分かると更に勉強をする意欲が湧きます。最初はレベルの低いところから始まっても雪だるま式に成功が膨れ上がり、気づけば遠い所まで来ているのです。

 

 一方で負け組と呼ばれる人は常に自分がなぜ負けるのか、負けてしかるべきかを追い続けてしまいます。

 成功する人がいれば「たまたま運が良かった」「生まれが良かっただけ」と言い、遺伝や生まれた環境が成功に大きく影響するという研究結果の記事があれば大喜びで拡散する。

 もちろん人間の成功には生まれ持った才能や周囲の環境は大いに影響があります。しかし負け組の人が目指すべきところは年商数百億円のビジネスマンや世界レベルで戦うアスリートでもないでしょう。最初のステップとしては年収500万円を超えて、ひとまず「負け組」と呼ばれるレイヤーから抜け出す。そのレベルの話なはず。しかし敢えて無理な領域の話を出して自分を安心させてしまうのです。

 努力は複利で効いてきます。一度差がついてしまえば取り返すのは非常に難しい。人生の後半で大慌てで逆転しようと思っても一度ついてしまった差はなかなか埋まりません。成功する人はトライ・アンド・エラーでより成功するための方法を研ぎ澄ましていますし、成功できない人は成功のための方法論を持っていないため少しやる気を出しても結果が出ず、簡単に諦めてしまいます。

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 成功する人は誰もが最初から高いクオリティでアウトプットを出せていたわけではありません。

 今や日本のトップYouTuberであるHIKAKINさんも最初は無編集のおおよそコンテンツとして成立していない動画をアップしていましたし、多少知名度が上がったときも「視聴者はキッズしかいない」と散々な言われようでした。それでも真摯に自分が上げてきた動画の良いところ悪いところを研究し、ブラッシュアップしたコンテンツを送り出し続けたからこそ今の地位があるのです。

 僕も勉強を決意した時は本当に辛かった。まず物理的に体が毎日1時間机に向かうことに耐えられなかったため、とりあえず最初は負荷の低いExcelのグラフの作り方を勉強していました。当時は無駄に意識だけは高かったので1時間の勉強すら満足にできない自分にほとほと嫌気が差す。

 他人を批判すれば批判するほど、いざ自分が新しいことに挑戦した際、高いクオリティのコンテンツを出せないことに絶望してしまいます。だから格差は開いていってしまうのです。

 ただし努力ができないのは100%本人が悪いわけではありません。遺伝、環境の要因はやはり大きい。

 それでも自分が現在の劣悪な環境から抜け出したいと思うのであれば、どこかで努力を馬鹿にする悪循環から抜け出せねばなりません。

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