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考え方

給料の本質と日本社会の課題を考える

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<https://x.com/KT_1943/status/1881624582232342568より引用>

 X(旧Twitter)では定期的に「1日8時間週5日働いて手取りが○○万円なんておかしい」という投稿が話題になりますが、今年もその変化系が早速話題になっていました。

 上記のツイートは「1日8時間週5日に耐えうる人材は減っている(≒週40時間以下の労働でも企業は労働者に十分な賃金を払え)※1」という書き方をしていますが、改めて基本形である「1日8時間週5日働いて手取りが○○万円なんておかしい」という内容について言及していきたいと思います。
 ※1.まさかこの書き方で「1日8時間週5日の労働は高負荷なので、低賃金になったとしても一般人はそれ以下の労働量で無理なく働こう!」という意味合いではないと思いますが…

 僕自身、ブログやTwitterで何度も述べていますが、給料は基本的に自分が稼いだ額以上をもらうことはできません。例えば、「自分は売上を100万円出しているのに、会社がマージンを取りすぎているせいで手取りが10万円になるのはおかしい」とでも言うのであれば納得はできます。しかし、仕事の密度が昔と比べてどれだけ濃密になり、労働強度が上がったとしても、売上を生み出さなければ給料として受け取ることはできません。

 とはいえ、正社員として働いていれば新卒であっても自分の売上に関係なく額面20万円、手取り16万円をもらえるというのはなかなかすごいことです。仮に会社が0%のマージンという超絶優良企業だとしても、社員一人ひとりが最低でも月に20万円の売上を上げなければ、経営は成り立ちません。月に20万円ということは、1ヶ月を20営業日とすると、毎日1万円の売上を出し続けなければなりません。

 個人でできる最も手軽なビジネスとしてメルカリがありますが、そこで毎日1万円の売上を出し続けることがどれほど大変かを考えれば、社員の売上が下がろうとも一定額を社員に払い続ける企業がいかにすごいか理解できるでしょう。自分が生み出した売上額はスルーしながら、給料について不満を述べるのは、社会人として適切ではないと思います。ビジネスの基本として、まずは「獲物を取ってくる」か「作物を収穫する」ことが必要です。それなしに「とりあえず狩りや畑に行ってきたから分け前をよこせ」と言うのは、正直なところ無理があるように感じます。新卒3年以内の若手であればこうした意見を持つことも理解できますが、30歳を過ぎても同じ主張をするのはさすがに厳しいでしょう。

 こうした議論は過去にも何度も繰り返されており、そのたびに話題になっていますが、今回は9万件近い「いいね」がつくほどの広がりを見せています。しかし、リプライや引用リツイートを見ても、この意見を諫める声はほとんどありません。エコーチェンバーによって、この考え方が正しいと認識されるようになることは、日本社会にとって明らかに良くないことだと感じます。

 労働者が団結して企業に賃上げを求めるのは正当な権利であり、積極的に行うべきことですが、まずは自分自身が売上を出していることが不可欠です。売上を上げる努力をせずに、企業に一方的に負担を求めるような動きが続けば、誰も経営者になりたがらなくなるでしょう。結果として雇用が減少し、最終的には労働者側が不利益を被ることになります。

 「1日8時間、週5日の労働が辛い」と感じるのであれば、シフト制の仕事を選び、週休3日や4日を実現する方法もあるはずです。もっと言えば自分でビジネスを起こせば働き方は自由に組むことができます。しかし自分の出している売上に言及することもなければシフト制の仕事を選ぶこともない。自分で稼ぐこともできないのに、ただ会社に対して不満だけを述べるところをみると、自分たちの意見が無理な主張であることを自覚しているようにも見えます。

 

 僕はつい先日までセブ島(フィリピン)に英語留学に3ヶ月行ってきたのですが、そこでの経験が今回の意見を改めて強化したのです。
 僕が滞在したセブは観光産業が中心で、自国の産業がほとんど存在しません。スーパーマーケットに行けば、商品はほとんどが中国や韓国の製品で、施設内の機械も中国企業のものが大半を占めています。街を歩けば、欧米人がまるで自分の領地のように振る舞っており、自国に産業がないことの悲しさを痛感しました。

 この経験から、「自国で優れた製品を作り、海外から『ぜひ売ってほしい』と言われるようにならなければならない」と強く感じました。日本は少子高齢化が進み、国としての衰退が避けられない状況にあります。その中で、自ら売上を上げる努力をせず、他者の成果を奪うようなパワーゲームに終始していては、未来は明るくなりません。

<https://x.com/tanukiponkich/status/1885344220913033332より引用>

 僕が努力の大切さを説くと、身近な人間でも必ず「世の中才能や運が物を言うのだから、努力したって無駄」と言う人間が現れます。

 まぁ確かにそのとおりでしょう。実際近年の研究結果でも親の身体能力や学力は子に遺伝するという結果が出ているので、金持ちの生まれの子どもはより多くのチャンスを得るでしょうし、貧乏な生まれの子どもはよりチャンスに恵まれないでしょう。例えば僕が小さい頃から野球に打ち込んで、大谷翔平より練習をしていたら彼を超えられたかといえば万に一つもその可能性はありません。そういう意味では世の中才能がモノを言います。

 が、それもあくまでも世界のトップレベルで勝負する時の話です。僕が言いたいのはあくまでも「昨日よりも今日」「今日よりも明日」を良くしていこうという話です。今の年収が300万だったら、まずは年収400万を目指そうよ、と。実例を挙げれば僕のいるIT業界は昨今の人手不足で派遣であれば誰もが未経験であっても挑戦ができるし、そこで3年実務経験を積みつつ、VBAエキスパート/応用情報技術者試験/TOEIC730点を取れば次に転職したときにはメーカーで年収500万円は出ます。

 別にIT業界に興味がなくて、今は事務職をやっていて、今後も仕事は続けたい。でも年収を上げる方法が分からないのであればとりあえず「簿記2級」「FP2級」「マイクロソフトオフィススペシャリスト」でも取ってみればいいんです。これらを取って転職活動をして面接の場で「私は事務職なので自分の現場でのスキルを証明する方法がわからなかったので、とりあえず資格を取ってみました。簿記2級やFP2級の取得実績から分かる通り、最低限の基礎学力や学習習慣はあります」と言えば多少なりとも年収は上がるはずです。

 生まれ育った環境や元からある才能によって選択肢は限られてしまうのですが、それでも何かしら現状を改善するための打ち手ってあるはずなんですよね。それを主語を大きくして「世の中才能が全てだから」と全部を諦めてしまうのはあまりにももったいなさすぎる。

 

 SNSを使っていると良くも悪くも極端な意見には賛同者が集まります。ちょっとしたガス抜きのつもりで甘えたことを言ってみてもそれに100いいねもついたら「この考え方をしてもいいんだ!」と思ってしまうものでしょう。でそういった賛同者のエコーチェンバーの中でいつまでも易きに流れていると、取り返しのつかないところにいってしまいます。

 甘い言葉に流されることなく、自分の稼ぎは自分で生み出しましょう。

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