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アイドル映画とその宿命『チア☆ダン〜女子高生がチアダンスで全米制覇しちゃったホントの話〜』

 AmazonPrimeで『チア☆ダン~女子高生がチアダンスで全米制覇しちゃったホントの話~』を観ました。

※今回の作品はAmazonプライム会員であれば無料で視聴可能です。→AmazonPrimeビデオ

 

上映時間

 121分

 

オススメ度

 星5点満点中:★★

 

ストーリー

 友永ひかり(広瀬すず)は、県立福井中央高校に入学する。中学からの同級生である山下孝介(真剣佑)を応援したいと思った彼女は、チアダンス部に入る。だが彼女を待ち構えていたのは、アメリカの大会制覇に燃える顧問の女教師・早乙女薫の厳しい指導と練習だった。
 先輩たちが次々と辞めていく中、同級生のチームメート玉置彩乃(中条あやみ)と切磋(せっさ)琢磨しながらチアダンスに打ち込むひかり。チームは一丸となってトップを目指していくが……。<Yahoo!映画>

 

感想

 今をときめく広瀬すずと中条あやみの2017年のアイドル映画。

 アイドル映画というのはその時の旬なアイドルをいかに魅力的に撮るかが第一とされ、ストーリーはおざなりというのが宿命です。

 アイドル映画自体はビートルズの時代からあるのですが、日本の古いところで、かつ、社会現象になるまでの爆発的ヒットを記録したもので言うと1981年の薬師丸ひろ子主演の『セーラー服と機関銃』があります。
 その後も売り出したいアイドルが登場すると彼女たちをフィーチャーした映画が作られ、少し前でいうとAKB48の前田敦子を主演にした『もしドラ』の実写版や、本田翼(と東出昌大)主演の『アオハライド』、他にも・・・ これ以上はパッと出てこないので割愛します。

 アイドル映画というのはアイドルをいかに魅力的に撮るかが第一のため、新人の監督が抜擢される傾向があります。
 大方の監督はスポンサーや事務所の意向に従って職人的にそつなくこなすものですが、中には「だーれがアイドルをフィーチャーしてやるもんか! 俺の好きなように撮る!!」と息巻いて作品を作ってしまう監督もおり、『セーラー服と機関銃』の相米慎二監督なんかは当時人気絶頂の薬師丸ひろ子でアイドル映画を撮ると銘打っておきながら、本編では薬師丸ひろ子を全然アップで撮らないわ、無茶な演技をさせるわと無謀なことをしていました。(結果として映画は大ヒットしたからいいのですが)
 本作『チアダン』の監督である河合勇人はそんな相米慎二の下で助監督を務めたこともある人なので、相米監督に倣って広瀬すずに無茶なことをやらせているかと思えば・・・ 全然普通にアイドル映画撮っちゃってましたね。

 さて、今回の広瀬すずと中条あやみをフィーチャーしたアイドル映画『チアダン』ですが、お話のフォーマットとしては『ウォーターボーイズ』である種完成したとも言えるスポ根モノを採用しています。明るさだけが取り柄の主人公がいて、いい感じになる異性の恋人がいて、ちょっと変わった先生がいてという、完全にフォーマットに従ったストーリー。

 じゃあスポ根フォーマットに従ったストーリーだからといって面白くないの? と言ったらそれも微妙で、完成されたフォーマットに従っているからこそ一定の面白さはあります。映画館で真剣に見るにはかなり物足りないけれども、家で洗濯物を畳みながら観る分には「あぁ、元気の出る良いもの観たな」といった感じでした。

 ただこの映画で一番気になるのは、いくらアイドル映画とは言え、"他者の存在" があまりにも希薄だということです。
 主人公たちはチアダンを始めてすぐに大会に出るものの、ほぼ素人のため当然のことながら結果は出ません。
 結果が出ないのは当然なのだけれども、よそのチームがどれだけの演技をしているかというのがほとんど描写されないため「主人公たちは他と比べて何がどうダメで、これから何を埋めていかないといけないのか」が全く分からないのです。普通のスポ根モノであれば、現状把握→課題設定→解決というプロセスが示されるため、一個一個解決していく様に観客もノッってくるのですが、本作にはそれがありませんでした。
 特に本作は一応実話の映画化ということなので、「弱小チアダンチームがいかにして全米制覇をしたのか」というビジネスにも活かせそうなノウハウを期待していたのだけども、それもほとんど得られなかったのは残念でしたね・・・ あれだけダメダメだった主人公たちがどうやってダンスの技術を習得し、勝ち上がっていったのかというサクセスの部分が全くロジックを伴ってなくて、「気づいたらダンスできるようになってました」ぐらいの描写になってしまっています。

 あと「チアダン」という題材も、映画化するには微妙に悪いチョイスで、日本人にとってはチアリーディングとチアダンスの違いもよく分からないし、広瀬すずや中条あやみのような多忙なアイドルを2~3ヶ月特訓してダンスを覚えさせたところで、そこまで画面に映えるものにはならないわけですよ。
 例えば『ウォーターボーイズ』であれば「高校生で、しかも男子がシンクロをやる」というキャッチーな要素があるおかげで、シンクロの演技自体がそこまで完成されていなくても観客としては男子シンクロシーンが出てくると「おぉ!」と思ってしまうのです。
 ところがチアダンスとなると我々は普段テレビやYouTubeで本場のゴリゴリのチアリーディングを観てしまっているわけで、どうしてもそれと比べてしまうわけです。だからどれだけ広瀬すずと中条あやみが頑張ったところで、それで得られるリターンは驚くほど少ない。

 同じくチアを題材にした映画で『チアーズ!』というスパイダーマンのヒロイン役で知られるキルスティン・ダンストが主演した映画があるのですが、そちらはラストのチアリーディングシーンであのムチムチしてちょっと重そうなキルスティン・ダンストがバク転するシーンがあるんです。それを観た瞬間に観客は「おいおい、キルスティン・ダンストめっちゃ頑張ってんじゃん!」と思ってしまうんですね。『チアーズ!』に関しては主人公たちの成長プロセスが丁寧かつポップに描かれていますし、それでいてラストのチアシーンもハリウッドだけあってちゃんと役者さんたちが特訓してかなりレベルの高い演技をしていましたし、その上バク転という一発大仕掛けを仕込んでいたおかげで満足感はかなり高かったです。
 うーむ、『チアダン』にもラストに一個なにかあればなぁ。

 と、一通り『チアダン』で惜しかったところを挙げましたが、1個のアイドル映画としては広瀬すずも中条あやみも非常に可愛く撮れてましたし、ラストのチアダンスシーンもかなり頑張って演技している様が伝わってきたので、それなりには満足です。
 僕、広瀬すず好きなんですよねぇ。(本当はお姉ちゃんの広瀬アリスが主演だったら星4つつけてましたけど)
 アイドル映画には欠かせない "ピュア感" が広瀬すずからは猛烈に発信されていて、観ていて「頼む~ 広瀬すずには悲劇的なイベントが起こらないでくれ~」と思ってしまいました。普通こういうスポ根モノは常時悲劇的なイベントが起こるものですが(というより起こさないと映画として面白くなっていかない)、この映画に関してはただただ広瀬すずと中条あやみには幸せになってほしくて物語が平坦になっていてもそこまでは気になりませんでした(笑)
 (あと最近知ったのですが、広瀬すずは綾瀬はるかと同じでガチのピュアな子らしいですね・・・)

 ということで普通のスポ根映画に期待している人にはおすすめできませんが、僕のように広瀬すずと中条あやみが大好きで、なにか作業をしながらのながら観をする分にはちょうどいい作品でした。
(だってタイトルがストーリーを全部言っちゃってて、どこから観始めても内容分かりますしね。)

※今回紹介した作品はAmazonPrime会員の無料体験でも視聴可能です。

 

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