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考え方

プログラマーアイドルが告知ページ制作やLチカをやるべき理由について

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 みなさんはプログラマーアイドルを知っていますでしょうか。

 プログラマーアイドルについては遡ること3年前の2020年、コロナ禍直前に大阪のとあるプログラミングスクールが女性プログラマーの増加を狙い「プログラミング×アイドル」のコンセプトでメンバーの募集をかけたところから始まります。

 募集開始直後は「なんでプログラミングを広めるのにアイドルなんだ!!」「プログラマーと女性をバカにしてる!!」と今振り返ると言いがかりとしか思えないような内容で批判が集まり炎上。

 あまりの批判のひどさに一介のオブザーバーに過ぎなかった僕もアイドル側の擁護記事を書くと若干飛び火するというような状況でした。

 そうした炎上騒ぎとコロナの本格化もあり、プログラマーアイドルの募集は一旦頓挫。僕もその時点でプログラマーアイドルの情報は追っていなかったのですが、2022年のはじめ頃にふとしたキッカケからその後『電脳カプセル』という名前でアイドル活動が始動していることを知りました。

 しかしその電脳カプセルも精力的にライブ活動を行いながらも思うように集客ができなかったようで、2022年末に解散。現在は同じ運営会社の別ユニット『アイドルプログラム』によって「プログラミング×アイドル」のコンセプトが引き継がれています。

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 さてこのプログラマーアイドルですが、『電脳カプセル』の時は"プログラマー"と銘打っておきながらほとんどプログラミングを学習したり実際にコーディングする様子もなく、ファンの間からも優しいツッコミが飛び交っておりました。

 「○○×アイドル」の○○の部分をおろそかにしてアイドルの部分だけで戦おうと思うと世の中にゴマンといる他のアイドルたちと差別化が測れず結局集客に苦戦するということを電脳カプセルで学んだのか、アイドルプログラムの方では一応プログラミングに挑戦しようとする姿勢が伺いしれます。

 具体的にはNintendo Switch用のプログラミング学習ゲームである『ナビつき! つくってわかる はじめてゲームプログラミング』のプレイ動画を週イチで実況配信しており、僕もその配信をよく視聴しておりました。

 とはいえ運営側も現状のままではプログラミング(プログラマー)の要素がまだまだ薄いと感じていたのか、活動1周年記念の2022年末にとある発表をします。

 それが半年を目処に自分たちの楽曲を使用した音ゲーアプリを開発するとのこと。

 これに対し僕は以下のようなツイートをしました。

 プログラマーとしては全くの初心者のメンバーがいきなり音ゲーを開発をするのは、かなりハードルが高い上にリターンも少ないと思うのです。それであれば告知ページ制作やLチカ(電子工作でLEDの制御をする)に挑戦をした方が良い。

 プログラミング×アイドルはアイドル本人だけでなく、昨今エンジニアが不足している日本にとっても重要な活動になってくるので、僕も注目して活動を追っています。そしてできる限り成功してメジャーになって、プログラミングを世に広めてほしい。

 今回はなぜ音ゲー開発よりも告知ページ/Lチカをやった方が良いと思ったのか、その理由について掘り下げて書いていきたいと思います。

音ゲー開発の問題点

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開発のハードルが高すぎる

 まずどのプログラミング言語も習得していない状態でいきなり音ゲーのアプリを開発するのはあまりにもハードルが高いということです。僕はスマホアプリ系とは畑の違う組み込み系で6年やってますが、いくら畑違いとは言え半年で音ゲーアプリを作るのは技術的にも納期的にも厳しいことは理解できます。

 音ゲーを作るにしても音楽の再生はどうするか、音楽のデータからどうゲームを生成するか、画面の構成は、音楽のデータやスコアを管理するサーバーとの連携は、多様な機種が発売されているスマホでデバッグはやりきれるのか、などザッと思いつくところを書き出してもなかなか時間がかかりそうです。

 アプリ開発が出来るぐらいになるまでは最低でも2000時間、つまりは本職のエンジニアがフルタイムで1年働くぐらい取り組まないとスキルは身につかないでしょう。それでも既存のライブラリを大量に使っておおよそ「自分たちで作った」とは言い難いレベルでやっと完成ぐらいになるのではないでしょうか。

 スマホアプリはマーケット(アプリストア)に並んでしまうと、どれだけ「初心者のアイドルプログラマーが作ったから」と但書をしていても、他の無料高品質音ゲーたちと同じ土俵に立たされてしまいます。そうなると頑張った割に評価されず、本人のモチベーションにもあまり良い影響を与えません。

 

ファンの入り込む余地が少ない

 音ゲーのスマホアプリとなるとどうやってもソースコードの行数は万を超えてきます。巨大なモジュールを擁するプログラムにはファンもアドバイスはし辛い。プログラミングを売りにしているのであればコーディング生配信などで詰まったときに視聴者に助けを求めることも出来るかと思いますが、さすがに万あるコードに対しては視聴者も助け舟が出しにくいでしょう。

 というよりもサーバーとの通信などのやりとりも発生してくる音ゲーのソースを視聴者に対してオープンにできるのか。

 そしてスマホアプリとなると完成図が後半になってこないと見えてこないので、序盤は彼女たちが何をやっているのかが分かりづらいんですよね。最初から「こんなアプリを作るんです!!」というプロトタイプをバーンと示してくれればよいのですが、そもそもプロトタイプを作るのも一苦労ですからね。

 

アイドル活動への関係性が低い

 自分たちの楽曲を音ゲーとして使用したい、またゆくゆくは他から提供を受けた曲もゲームに取り込んでいきたいとのことですが、それだと自分たちでアプリを作る必要性はあまり高くないんですよね。普通にアプリの制作会社に発注を出して、自分たちはその浮いた時間で楽曲を作ったり歌とダンスの練習をしたほうが良さそうです。

 そもそもファンの人達にアイドルプログラムの楽曲で音ゲーをやるニーズがあるようには思えません。そうであればコナミの様な音ゲーを作っている会社に売り込みをかけて自分たちの楽曲を使ってもらうよう営業をかけている姿をレポートするのも面白いかもしれません。

 何にせよ、せっかく頑張ってスマホアプリを開発しても、彼女たちのその後のキャリアにそこまで大きなリターンをもたらさないんですよね。

 

なぜ告知ページ制作/Lチカをやるべきか

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開発のハードルが極端に低い

 さて、ここからが「告知ページ制作/Lチカをやるべきか」の理由となるわけですが、基本的には音ゲー開発の問題点の裏返しになります。そしてまず告知ページ制作とLチカは開発のハードルが極端に低いことが挙げられます。

 告知ページ制作というよりもWebページ制作と言った方が正しいのでしょうが、例えば彼女たちの事務所HPを現在のものと同じレベルで作ろうと思うと200時間も勉強すれば十分作れてしまいます。どれだけ飲み込みが遅くとも500時間以上かかることはまず無い。これは断言できます。

 スマホアプリと違ってWebページに関してはユーザーのハードルも低く、多少クオリティが低くとも許容されます。というよりもスマホアプリが異常にハードルが高いんですよね。無料で公開していてもちょっと不具合があれば低評価をつけられてしまいますし、たった100円ですら課金してもらうのに大きな壁がある。

 

ファンの入り込む余地が多い

 Webページの場合はソースがすべてオープンになるのでファンからのアドバイスも求めやすいです。

 それに最初に「こんなページを作りたいんです!!」というプロトタイプもExcelやパワポで簡単に作れてしまうので、ファンとしても「あ~最終的にはこんなのを作りたいのね」と理解できます。

 Webページを作るためのHTML&CSS&JavaScriptもスマホアプリと違って入り組んでおらず、ブロック単位でアドバイスできるのでもし詰まったところがあっても簡単にヒントを貰うことが出来る。

 自分がアドバイスしたコードがWebページに埋め込まれていれば「自分がこのアイドルの成長に貢献できた」と永らくファンになってくれるでしょう。

 

学んだことが即アイドル活動に反映できる

 Webページ制作によって自分たちでライブの告知もできますし、Lチカをやればライブの舞台装置の一つとして使用することができます。

 Twitterでは例としてLチカを挙げましたが、昨今のIoTブームの波に乗って舞台装置を電子制御することによって多様な演出を施すことも出来るでしょう。

 自宅や事務所でデバッグをしているところを映せば「本番ではどうなるのかな?」と実際にライブに足を運んでみたくなるもの。そして本番でうまく動作しなくてもそこはプログラマーアイドルのご愛嬌ということでファンは許してくれると思うんですよ。それに「なぜ本番では失敗してしまったのか」という失敗すらもコンテンツ化できてしまいますからね。

 

プログラミング×アイドルは可能性の大きい職業

 ここまで批判めいたことを書いてしまいましたが、僕はプログラミング×アイドルは非常に大きな可能性を秘めた職業であると考えています。

 今の時代、歌や踊りやビジュアルだけで勝つのは無理で、そういった正統派の部分は圧倒的な資本とノウハウを擁するAKBグループにすべて差し押さえられてしまっています。そして残り少ない領域でプログラミングはまだ取られていません。この一角が取れると強い。

 今の日本では国としてもプログラム教育に力を入れつつあるし、昨今のエンジニア不足は社会問題になりつつあります。そういったときにプログラムの一角が取れていると行政との仕事もできます。アイドルという特徴を活かして子供向けにエンターテイメント要素をふんだんに盛り込んでプログラミング教室でも開講できると、これ以上やりがいのある仕事はないでしょう。(実際アイドルプログラムはプログラミング教室を開講したりしているみたいです→参考記事)

 そしてそのプログラミング教室に来てくれた子たちには自分たちのHPやライブ映像を見せて「今は簡単なプログラミングしかできなくてもちゃんと勉強すればこんなことができるようになるんだよ!」と示すことができます。そうすれば子どもたちもファンになってくれるでしょうし、親御さんからしても単なるアイドルではなく「プログラミングを広める」というポイントが一枚乗っかっているので「あのお姉さんたちみたいになれるようにあなたもしっかり勉強しなさい」と親子で応援することができます。

 このような活動ができるとアイドル当人たちもプログラミングは出来るし行政と仕事をしたという実績もできるので、何かと問題視されがちなアイドル引退後のセカンドキャリアに不安がなくなるのです。

 

 以上が「なぜ僕は音ゲー開発よりも告知ページ/Lチカ制作をやったほうが良いと思ったのか」の解説になります。

 とはいえ、これはあくまでも僕の考えなので、実際にやってみないと分かりませんし、やったからこそ分かることもたくさんあるんですよね。僕自身もこのブログ開設当初は「Web系開発で副業をやってお金を稼ぎます!!」なんて言っていたのですが、紆余曲折を経て組み込み系一本でそれなりに稼げるようになっていますし。

 なんにせよプログラミング×アイドルは大きな可能性を秘めているので、成功することを願っています。

※本記事中の画像はすべて『アイドルプログラム』公式HPより引用させていただきました。



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