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細部のリアリティをどうするか 映画『寄生獣』

 AmazonPrimeで『寄生獣』を観ました。

※今回の作品はAmazonプライム会員であれば無料で視聴可能です。AmazonPrimeビデオ

 

上映時間

 109分

 

オススメ度

 星5点満点中:★★★

 

ストーリー

 普通の高校生・泉新一は、未知の生物に右手を食われた。地球の生態系に突然現れたこの生物は通称・パラサイト、なんと人間を食料とする新種の寄生生物~人間の脳を食い、その人間の身体に寄生する知的生物~だった。
新一を襲ったパラサイトは、脳を奪うのに失敗し、右手に寄生してしまった。動揺する新一をよそに、右手は人間の言語や文化を学び、自らをミギーと名乗り、新一に共同生活を持ちかけてきた。
 お互いが生き続けるためには、他に選択肢はない。勘の鋭い同級生・村野里美に怪しまれながらも、なんとかいつも通りの日常を過ごそうとする新一。しかし、教師として赴任してきたパラサイト・田宮良子にその正体を見破られてしまう。
街中に潜み人間を喰らうパラサイト達との戦いを余儀なくされた新一とミギー。パラサイト達が一大ネットワークを形成しつつある中、 人間達もパラサイトへの反撃を始めようとしていた。地球に生存を許される種は、人間かパラサイトか。<Yahoo!映画>

 

感想

 前々から観たいと思っていた本作『寄生獣』。

 僕はこの『寄生獣』のファンでして、漫画喫茶に行くと毎回「今日こそ流行りの新しい漫画を読むぞ!」と意気込んでいても気付いたら『寄生獣』を読んでしまっている始末。
 本作に関してはハリウッドが実写化するのしないので数年前からずっと揉めていたのをやきもきしながら見届けていたのですが、最終的には日本で実写化することになり、非常に驚きました。なぜならグロ描写が多いこの作品を、R指定が付くことを極度に嫌う日本で満足に実写化できるとは到底思えないからです。

 現在の日本映画は東宝や松竹のような映画会社が単独で作ることはほとんどなく、必ずテレビ局が製作に関わってきます。テレビ局が製作に関わるということは自分の局(テレビ)で放映できるようにしなくてはならず、必然的にR-15以上のレイティングが入る作品は作れないのです。
(作れないわけではないけれども、メリットがない)

 ということで本作のレイティングを見てみるとやはりPG-12となっており、「やっぱりグロ描写はほとんどカットなのか・・・」とガッカリしていたのですが、本編を観てみるとそんなことはない! 人がガンガン無残に殺されていくではありませんか!! というかここまでのグロ描写をしておいて、なぜPG-12で収まっているのかが分かりません!

 そんなグロ描写の是非はともかく、作品全体の話をすると可もなく不可もなくというか、100点満点で言うと60点ぐらいの作品でしたね。普通よりはやや面白い側です。

 最初はおどおどびくびくしていた主人公の新一が、ミギーに寄生され、戦いに身を投じていくうちに段々と勇敢になっていく。それと同時に人間的な感情を失っていく。
 片や寄生生物である田宮良子は当初は人間らしさの欠片もなかったものが、わずかながらに人間性を獲得していく・・・
 と聞くと一見面白そうなのですが、新一を演じる染谷将太の演技がギリギリのところでハマっておらず、非常に惜しい。染谷将太は若手の中ではかなり演技力がある方だと思いますし、覚醒後の無機質な感じをうまく表現しているシーンも有るのですが、いかんせん演技にバラツキがあって、冷徹な感じになったかと思うと次のシーンでは臆病になったりする。これは役者本人の問題というよりは監督が現場でうまいこと演出ができていないせいでしょう。
 一方で田宮良子を演じる深津絵里はさすがの貫禄で、初めて登場するシーンから存在感が見事なこと。寄生生物特有の無機質な感じを非常に上手く表現していました。

 ストーリー自体は原作が非常に優れており、映画版はそれを忠実になぞっているため一定の満足感があるのですが、やはり実写化するにあたって色々と気になる点があります。
 まずCGのクオリティの低さには苦言を呈さずにはいられません。ハッキリ言ってクオリティがPS1ぐらいのレベルなんですよね・・・
 クオリティが低い事自体はしょうがないと思うのですが、日本のCGの悪い癖として「せっかくCGを作ったんだから、全部ドーンと見せたい!」というものがありまして、本作でもクオリティの低いものをわざわざ引きの画で全体像が分かるように見せてしまっているのです。もっと隠し隠しやればいいのに・・・
 もし全体を見せたいのであれば、『シン・ゴジラ』のように「CG自体はフェイクでも、その周りは徹底的にリアルで固める」という手法をとるべきでした。『シン・ゴジラ』のCGクオリティも決して高いものではありませんでしたが、ゴジラをとりまくストーリー構成などは徹底的にリアリティに拘っていたため、CG自体が嘘であっても段々と気にならなくなってくるんですね。
 また寄生生物たちが「なぜ人間を捕食するのか」という部分についても映画を見ている間ずっと気になってしまいました。漫画を読んでいる間は特に気になることもありませんでしたが、人の体に寄生しているのであれば普通に人間のように飲み食いをすればいいだけなのに、それをなぜわざわざ危険を冒してまで人を捕食するのかが気になってしまいましたね。田宮やミギーがリアリズムを追求した発言をすればするほど、細部のリアリティに目が行ってしまい、中途半端にリアルにするぐらいならば完全に細部まで追求するか、徹底的にリアリティを放棄したほうが良かったでしょう。
 この作品の肝である新一と寄生生物とのバトルシーンですが、これもまた日本映画の悪い癖で、俳優さんが後ろを向いているシーンだけ身体能力が劇的に上がる問題が発生していました。実写版『GANTZ』でも同様のことがあったのですが、顔が見えてないシーンではスタントマンを使っているのですが、役者さんが演じているところとスタントマンがやっているところに差がありすぎて、どうしても浮くんですよね。まぁアクション映画がそこまで好きではない人には分からないレベルですが。

 以上が本作の感想となり色々不満な点を挙げましたが、やはりグロシーンをPG-12の規制内であそこまで描ききったところや、下手に映画オリジナルの要素を入れることなく1本の映画としてまとめたところは良かったなと思いました。(評価自体も星3つですしね)

 次回は本作の続きである『寄生獣 完結編』のレビューをお届けします。

 

※今回紹介した作品はAmazonPrime会員の無料体験でも視聴可能です。

 

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