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人類はどのように文化を発展させてきたか『オデッセイ』

 ここ数年、元気をもらいたいときに繰り返し見る映画があります。それがマット・デイモン主演の『オデッセイ』です。

 

 『オデッセイ』のストーリーは非常にシンプル。火星に一人取り残された植物学者出身の宇宙飛行士が、持ち前の知識を最大限活用してそこからの脱出を図るというもの。エログロ描写もなく汚い言葉遣いもない。科学的にためになる描写が山ほど出てきて勉強にもなるし、何よりも「諦めないことの大切さ」を教えてくれる、教訓話としても非常によく出来た映画なのです。世の中「老若男女にオススメできる映画」と広告的にキャッチコピーの打たれた映画は数多くありますが、その多くがターゲット設定が中途半端な煮え切らない作品となっています。しかし『オデッセイ』に関して言えば自信をもってどの年齢層、どの性別の人にでもオススメできます。

 つい数年前まで僕は周りから「何か(元気の出る)オススメの作品はない?」と聞かれた時は、みんな微妙に名前は知っていつつもあまり観たことのない作品として『チアーズ』『メジャーリーグ』『もしも昨日が選べたら』を紹介していたのですが、最近は積極的に『オデッセイ』を勧めるようにしています。

 

 さて、本作の主人公マーク・ワトニーは植物学者出身の宇宙飛行士。それが火星の有人探査ミッションを実行中砂嵐に巻き込まれ、基地の折れたアンテナが体に突き刺さり周りからは死んだと思われてしまいます。嵐をから逃れるため他のメンバーは慌ててロケットに乗り込み地球へと帰還します。しかしワトニーは実は生きており、意識を取り戻したときには火星に一人取り残された状態になってしまうのです。アンテナは折れた状態で地球との交信は図れない。しかも次に人類が火星にやってくるのは4年後。基地に残された食料はわずか。絶望的な状況にありながらもワトニーは持ち前の明るさと植物学者の知識を活用して、なんとか助かろうとするのです。

 本作の面白い点はいくつかあって、まず初めに主人公が植物学者という点が挙げられます。

 普段我々は植物学者というと、人類が生きるには必要な学問だと知っていながらも若干見くびっているところがあります。しかし火星に一人取り残されるという過酷な状況で、この植物学の知識が猛烈に役に立つのです。

 残された基地に若干の食料はあるものの、当然のことながら4年分はないわけです。となると残された食料から作物を栽培しなければなりません。火星に土はあるものの栄養はほとんどない状態。ではどうやって作物が育つほどの栄養を土に与えるか。答えは宇宙飛行士たちの"排泄物" を使うのです。

 他にも栄養のある土は用意できたとしても、定期的に水分を補給しなくてはいけません。そちらも今ある水を使ってしまうのではすぐに底を尽きてしまう。なんとかして水を生成しなくてはいけない。そこも今ある材料と知識でなんとか水を生成してしまうのです。

 普段僕らが植物学を低く見てしまっているフリがあるからこそ、劇中の描写を見ていると「へぇ~そんな方法があったのか」と毎分ぐらい感心してしまうのです。

 次に挙げられる面白い点としてはエンジニアあるあるが随所に盛り込まれている点です。

 ワトニーが持ち前の知識で色んな問題を解決しても、次から次へと問題が出てくる。むしろ解決して次にステップに進んだからこその問題が発生するあたりエンジニアである僕の普段の仕事と重なってほんとに感情移入してしまうんですよね。この機能が過剰に動いてしまっているから動きを弱めてみたらこっちは解決したけど、別の問題が発生してしまう。別の方をなんとか解決してみればまたこっちがダメになった、みたいな。

 特に地球にいるメンバーがワトニーが生きていることに気づいて、まずは食料だけ送ろうとなったときにロケットを作るエンジニアたちが上からものすごく詰められるんですよね。

 上官「早くロケットを作れ!」

 エンジニア「急ピッチでやっても数ヶ月かかります!!」

 上官「検査を省けば行けるだろ」

 エンジニア「検査ちゃんとやらないとダメですって!」

 上官「検査で不具合が見つかる可能性は? もともとどれだけ不具合が混入する?」

 エンジニア「まぁかなり低いですが」

 上官「だったら検査を省け」

 もうこのシーンがほんとエンジニアあるあるでして。上から無茶な納期を要求されるとまず最初に「検査を省け」って言われるんですよね(笑) それで検査を省くほど急ピッチで作業をしてるから当然のことながら不具合が混入してしまっているのでプロジェクトが失敗するという。

 このシーンに限らずとも、「一人取り残された火星から、限られた物資をもとに脱出する」という目的から、具体的な実行案に落とし込むところが我々の仕事と全く同じプロセスなんですよね。この映画は2時間弱の上映時間中、常に問題設定→計画→実行というプロセスを繰り返しています。それが普段の我々と重なってしまい、思わず感情移入してしまうのです。

 そして最後に上げる面白い点が、主人公が立ちふさがる困難に対して常に知識で立ち向かう点です。

 通常ハリウッド映画となると「なぜ主人公はそのミッションを達成することができたか」という理由が「強靭な精神力を持っていたから」であるとか「屈強な体を持っていたから」であることが多いです。しかし『オデッセイ』においては彼がこのミッションを達成できたのはひとえに "知識" を持っていたからなのです。

 それこそ序盤でワトニーが植物の栽培に成功するところであるとか、アンテナが折れ地球と交信できなくなったところでどうやって自分が生きていると伝えるのか。その解決方法が体力や奇跡ではなく、あくまでも知識で立ち向かうのです。

 この映画を観ていると、人類はなぜ文化を発展させることができたのかが良くわかります。それは過去の先人たちの失敗を糧に改善し、体力や奇跡によらない知識によって誰もが行動できる形に落とし込んで問題を解決してきたからなのです。勉強をし、先人たちが遺した知識を吸収することがなぜ大切なのか。『オデッセイ』を観ればと勉強の大切さが痛感させられます。

 

 以上が映画『オデッセイ』のお話でした。

 本当に誰にでもオススメできる映画ですので、元気を出したときにはぜひご鑑賞ください!

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