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スポ根+アイドル映画の良品『ビリギャル』

 AmazonPrimeで映画『ビリギャル』を観ました。

 『ビリギャル』については以前から評判がいいのは耳にしていて、更には物語の舞台が僕の生まれ育った街・名古屋ということで気にはしていたのですが、予告編から漂う「安上がりなアイドル映画臭」がどうしても気になってしまい、いまいち食指が伸びない状態にありました。

 それが先日ふとしたきっかけでAmazonPrimeで無料で観れることを知り、いざ観てみたのですが、なるほど確かにこれは安上がりなアイドル映画ではあるのですが非常に手堅く作られた良作だったのです。スタッフたちの映画作りのレベルは決して高くないものの、無理に背伸びをせず自分たちができること確実に織り込んでいった姿勢には非常に好感を持ちました。

 お話の筋としては原作本のタイトルの通り『学年ビリのギャルが1年で偏差値を40上げて慶應大学に現役合格した話』。これ以上これ以下でもないわけです。この筋をスポ根モノの定番+アイドル映画のフォーマットに落とし込みます。まずは何をやってもダメな主人公がいて、それがひょんな事から指導者に出会ってめきめきと実力を伸ばし、快進撃が続いたところで大きな挫折。そして最後には周りの支えもあって奇跡を起こし、大逆転を果たす。今まで何千本、何万本と作られた映画のフォーマットではあるのですが、受験という誰もが通ったことのある道でありながら、意外と受験を真正面からこのフォーマットに落とし込んだ映画は少なく、これはこれで観てみるとなかなか面白いものです。

 とりわけ僕が感心したのは、伏線の仕込みと回収をキッチリと行っていること。特にこのお話のキーになってくる主人公さやかちゃんの父親は、息子ばかりにかまって娘にはほとんど相手をせず、家庭もバラバラな状態になっています。そこでなぜ彼がそんな状態になってしまったのか、どうすれば彼が救われるのかという伏線が丁寧に張られます。それが最後さやかちゃんの大学合格によって一気に回収され、父親を通じて登場人物すべてが救われることによって、ラストは爽快感を生んでいます。確かにスポ根映画のフォーマット通りに進むのですが、単純にフォーマットをなぞるのではなく「なぜこのシーンが必要なのか」ということをスタッフたちは真剣に考えて撮っているので、無駄なシーンがなく、退屈しないんですね。

 スタッフが真剣にこの映画を撮っている証として、舞台設定があります。この映画は名古屋を舞台として、名古屋ロケも多く実施されているのですが、正直言ってお話の筋として舞台が名古屋である必要はほとんどないんですよ。別に東京が舞台であっても何の問題もなく進行できてしまいます。それでもちゃんと舞台を原作通り名古屋にしたのはスタッフたちが丁寧に映画を作っていこうと考えたからだと思います。

 そしてやっぱりこの映画の面白さの重要な要素としては有村架純のアイドル力があります。最初有村架純がギャルの役をやると聞いたときはミスキャストだろと思ったものですが、実際に映画を観てみるとその真意が理解できました。見た目がギャルであっても奥底が清純派なので、映画が始まって割と早い段階で有村架純のことをついつい応援しちゃうんですよね。彼女の顔が画面いっぱいに映って、それでニコッとされると大抵の男は好きになっちゃうことでしょう。そして映画のストーリーとしても最初はギャルだったのが文字通りメイクが剥がされていって、最後にはいつもの清純派になっていくところがちょっと笑ってしまいました。

 ここまで褒めてきたとはいえ欠点がないかといえばそうでもなく、結局こういったスポ根映画にありがちな「勝てた理由」の説明が不足しているところが気になりました。学年ビリになったギャルが一年で慶應に受かった理由と言いますか、具体的な勉強メソッドが提示されないので、映画を観てるこちらとしては「なんか頑張ったら受かった」「実は地頭が良かっただけ」にしか映らないんですよね。この映画で具体的な勉強メソッドが提示できれば受験生に対してもかなり有益なものになったので、その点は惜しいなと思います。

 この映画を観て絶望的につまらないという人は恐らくいないでしょうし、仕事や勉強に行き詰まったときに本作を見れば必ず元気が出ることでしょう。そういった点で非常にオススメの映画です。

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