過去のことを振り返ると「あれは無かったよな」と思ってベッドの上でジタバタしてしまうことはよくあるかと思います。中でも自分の社会人としてのキャリアを振り返ったときに自社の評価面談や転職の面接で「自分の強みはコミュニケーション能力です!」と言ってしまっていたのは本当に恥ずかしいなと思い、定期的に当時の光景をフラッシュバックさせては悶絶しております。
自社の評価面談はともかく転職の面接となると、面接官が聞きたいのは
- あなたは前の会社でどれだけの実績(売上)を出したのか
- 弊社で希望給与額に見合ったの実績(売上)は出せるのか
ということです。
そうした面接に隠れた意図を読み取れず「コミュニケーション能力」という数値化出来ない強みを持ってきてしまう時点で相手からの反応はかなり厳しいものになってしまうのではないでしょうか。
よく「下手に仕事ができる性格の悪いやつよりも、仕事は出来なくても性格が良くて一緒に働いていても心地良いやつの方がよい」と言われますが、実際社会に出てみて実感するのは「仕事は出来るけど性格が異常に悪いやつ」はあまりいないということです。というよりも「仕事はできない上に素直さも謙虚さも何もない」という人間は、結構な確率で見ます。基本的に仕事は先輩から教わりながら覚えていくものなので、素直に人の話を聞けない人間は業務スキルが伸びていくことはないんですよね。
もちろん「数値には表せられない、職場で求められる人柄」というものは存在するでしょうけれども、転職の面接では面接官側が上に稟議を通すときに数値としての実績が何も書かれてないと、承認が下りないんですよ。例えばあなたがとある企業の二次面接を担当する部長だとして、一次面接を行った人事部の人間に「今回の志願者、どうだった?」と聞いて「いやー、仕事は大した実績はないんですけど、人柄はピカイチだったんでぜひ二次面接に進めさせてください」と返ってきたら、なかなかいい顔は出来ないはずです。
もし仮に本当にコミュニケーション能力があるのであれば何かしら実績は挙げられるはずで、以下のようなことも言えるはずです。
- 今まで開発メンバーで横のつながりが弱く、業務ノウハウの共有が出来ていなかったため、私が音頭を取り改善に尽力いたしました。各々で所有していた業務ツールは一度すべて提出してもらい、データベース化して共有。お客さんからの指摘事項は週一のミーティングを設定し横展開することで同様の手戻りを減らし、チームの残業時間を平均30時間から26時間まで削減いたしました。
- 普段は別チームで業務を行っている若手向けに勉強会を開催し、若手同士の交流やスキルアップの機会を与え、生産性の向上と離職率の低下に貢献いたしました。
かつての自分がそうだったのですが、コミュニケーション能力を売りにする人間は往々にして単にへりくだってヘラヘラして周りからイジられているだけの場合がほとんどです。見かけ上色んな人と交流できるからコミュ力があるように見えてしまうのだけれども、実際には能力を評価されているわけではないので、他人からお願いをされることこそあれ自分が何か頼んでも動いてもらえないことが多いです。コミュ力は人を動かして何かしら実績を挙げて、そこで初めて他人に語れる "コミュ力" になるのです。
評価されたいのであれば徹底的に数字として実績を挙げないとダメです。「自分は事務職だから数字として実績を語れないんだ」という人もいらっしゃるでしょうが、その場合は残業時間の削減や指摘件数の低減など、自分のやっていることを何が何でも数字に置き換えてみる。
実績なんて放っておいても勝手についてくるものではなくて、最初に「ゆくゆくは転職の面接でこういう実績を語りたいから、今のうちにこう行動する」という考えじゃないといけないんですよ。僕はかつて転職活動をしていたとき、面接確約が来た大手企業の面接に意気揚々と赴いて、そこで部長から「東城さんね、結局あなたに何ができるか全然伝わってこないんですよ」とガツンと言われたという経験があります。その時に「他人からひと目見て自分の実力が理解できるようなスキルや実績がないとダメだな」と悟りました。
僕の場合は偶然キツイことを言ってくれる面接官に当たったから自分のキャリアを見つめ直すことが出来ましたが、他人にキツイことを言うとレピュテーションリスクがある昨今、なかなか本当にタメになることは言ってもらえません。自分が評価されたいのであれば、他人が評価しやすいような実績にこだわって動かないとダメなんですよね。
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